慶大が早大に勝ち、3季ぶり37回目の優勝を果たした。4番で主将の中日ドラフト4位、郡司裕也捕手(4年=仙台育英)が決勝弾を含むソロ2発。自身初の2打席連続本塁打だった。

昨秋の早大3回戦は勝てば3連覇だったが、9回から逆転負け。優勝目前で涙をのんだチームが、1年後、同じ早大に勝ち歓喜に沸いた。

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早大最後の打者の打球が一塁ミットに収まった瞬間、慶大ナインはいっせいに飛び出した。1年前は膝から崩れ落ち、涙をのんだ神宮のグラウンドへ。今度は、もみくちゃになって喜んだ。大久保秀昭監督(50)は「4年生が去年の悔しさを晴らしたいとプレーしてくれた。163人の部員が『絶対勝つ』と共有してくれた」と目を細めた。

横浜の慶大グラウンドには、逆転負けした早大3回戦のスコアが掲げられている。悔しさを忘れないとともに「ささいなミスが出たら、ああなる」(郡司)と引き締めてきた。だが、今春は明大に敗れ2位。練習量は十分なのに、何かが足りなかった。大久保監督は「本当に勝ちたいのか?」と気持ちに訴えた。同時に、自然体で臨んだ。伝統の早慶戦。昨秋は打撃投手に早大のユニホームを着させ、打倒・早稲田を強く意識させた。それが裏目に出た。6回に決勝弾の郡司は「地に足をつけて戦えました」。素の力で、上回った。

もう1つ、大きな目標がある。2回戦も勝てば、28年秋以来91年ぶりとなる10戦全勝だ。大久保監督は「信念と覚悟を持って、今季は挑みましたので、明日、決めたいと思います」と言った。目には涙がたまっていた。【古川真弥】

▽慶大・高橋佑(昨秋の早大3回戦で逆転負けした左腕が、5回2/3、6安打1失点で勝利投手に)「去年の秋の悔しさを忘れず、仲間を信じてやってきました」

▽慶大・下山悠介三塁手(3回に同点の適時三塁打)「後ろにつなげば、かえしてくれると思って打ちました」