シーズンオフのスペシャル企画で阪神ナインの原点、足跡をたどる「猛虎のルーツ」。第2回は今季の最強ブルペン陣に欠かせない存在となった阪神岩崎優投手(28)です。

清水東高(静岡)時代は体が弱く、その能力は「つぼみ」の状態だった。恩師の羽根田暢尚監督(55=現駿河総合副部長)が、プロでの活躍につながる当時の地道な土台作りを明かした。【取材・構成=奥田隼人】   ◇   ◇   ◇

岩崎の代名詞ともいえるポーカーフェースも高校時代にルーツがあった。

羽根田氏が「いろんな人があの子に関わって、あの子がその縁を大事にしたから」と振り返るプロへの道。高校時代から大学進学後も、同氏はさまざまな指導者を岩崎と引き合わせた。そこでは素直に助言を聞き入れ、実践していたという。「『イヤ』と言わない。顔に出したりもしない。そこが強みだと思う」。高校時代、なかなか結果が出ないタイプだった岩崎に「一喜一憂するな」と、言い聞かせた。結果が出なくとも焦らず、腐らないように。ラグビー界の「笑わない男」稲垣を引き合いに「似ているようなね。岩崎が笑うとか、みんなの前ではしゃぐということはあまりなかった」と、教えてくれた。

地元清水の星は、マウンドに立ち続け、多くの人に夢を与えている。「とにかくケガをしないで寿命長く。それが一番の願いです」。恩師は自慢の教え子にエールを送った。

◆岩崎優(いわざき・すぐる)1991年(平3)6月19日生まれ、静岡県出身。清水四中で軟式野球を始め、エースで4番だった清水東3年夏は静岡大会2回戦敗退。東都大学2部リーグの国士舘大では、4年間で通算10勝8敗。13年ドラフト6位で阪神入団。入団3年は先発も、17年からリリーフに転向。今季は途中から登場曲を「アイキャントライ」(河野万里奈)に変更。185センチ、91キロ。左投げ左打ち。