悔しさをぶつけてやり返せ! 昨年プロ初の0勝に終わった阪神藤浪晋太郎投手(25)に、母校大阪桐蔭の西谷浩一監督(50)が熱い激励メッセージを贈った。5日、大阪桐蔭が大東市のグラウンドで新年初練習。「やり返すシーズンになってもらいたい」「タイガースファンも望んでいる」と復活を願った。大阪桐蔭も一昨年の甲子園で春夏連覇したが、昨年は8年ぶりに聖地出場0。20年はダブルで、再び甲子園で輝く復活イヤーを目指す。

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西谷監督は、もがき苦しむ藤浪への親心を隠せなかった。「アマチュアの人がプロに指導するということはありませんけど」。そう前置きした上で、教え子への熱い思いを口にした。

西谷監督 (昨季は)苦しいシーズンだったと思うので、やはり期するものもあると思う。いろんな人に助けてもらいながら、もがいていると思うが、それを今年は形にして。勝負の世界はプロもアマチュアも同じ。やられたらやり返すという気持ちがすごく大事。やり返すシーズンになってもらいたい。

プロ通算50勝も昨年は1軍登板わずか1試合で、7年目で初の未勝利に終わった。12月には制球難克服のため沖縄でジムのBCプロジェクトが主催する「ドライブライン・ベースボール」のセミナーに参加。裸の上半身にセンサーを付け、ブルペンで投げ込む写真が大きく扱われた紙面は、西谷監督や大阪桐蔭関係者の間でも読まれた。「私たちもそうですが、たくさんのタイガースファンも望んでいる。勝負をかけてもらいたい」。恩師も虎党と同じ思いで復活を待ち望んでいる。

藤浪とバッテリーを組んだ1学年下の西武森は昨季、打率3割2分9厘で首位打者を獲得。捕手としてチームをリーグ連覇に導き、MVPにも選ばれた。西谷監督は「森は昨年、いいシーズンだった。(藤浪と)好対照の1年だったんじゃないですか。頑張ってほしい。対決することもあれば」と、互いに全盛での1軍対決にも思いをはせた。

大阪桐蔭にとっても勝負の年だ。一昨年は根尾や藤原らのスター軍団で春夏連覇したが、昨年は8年ぶりに春夏ともに聖地出場なしに終わった。指揮官は「今年にぶつけたい」と、出場確実な春のセンバツで再び頂点を目指している。同じ甲子園の舞台で、同校と藤浪が再び輝くイメージをダブらせた。

藤浪は母校の練習始めの恒例行事として、西谷監督の大好物の「ベビースターラーメン」を差し入れしてきた。この日は所用で来ることができなかったが、近日中に訪問する見込みという。背番号19が恩師の熱い思いも受け止め、勝負の20年に挑む。【石橋隆雄】

◆19年の藤浪 不調で開幕から2軍暮らし。1軍戦初登板はシーズンも佳境に入った8月1日の中日戦(甲子園)だった。初回先頭の平田をはじめ、1回いきなり3四球と大荒れの立ち上がり。制球が不安定なまま4回1/3を8四死球、1失点で降板し、2日に登録を抹消された。1軍はこの1試合だけでプロ初の0勝。2軍戦成績は14試合で3勝6敗、防御率3・84だった。契約更改ではプロ初の減額制限いっぱいの25%ダウン、2100万円減の年俸6300万円でサイン。秋季安芸キャンプでは山本昌臨時コーチ指導のもと、制球難改善に取り組んだ。

◆19年の森 開幕から5番に座り、山賊打線の中核を担った。球宴にもファン投票で選出され、第1戦で本塁打を放ちMVP。夏場には3番が増え、8月22日の日本ハム戦ではプロ入り初の4番も任された。3割2分9厘で首位打者を獲得。さらにリーグ3位の105打点と、球界を代表する強打者に育った。MVPにも輝き、契約更改では、1億2000万円増の2億円を勝ち取った。