日本ハム中田翔内野手(30)が12日、キャンプ地の沖縄・名護で、たっぷりの愛情を示してくれた亡き偉人の“予言”実現を誓った。

11日にこの世を去った野村克也氏に、生前「お前は、いい選手になるよ」と言われたエピソードを明かして「寂しい」と、しんみり。故人の期待に応えるべく「(打者としての)最高峰は3冠王。俺も、もちろん頑張りたい」と“令和の3冠王”を目指す。

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練習の合間、12日付スポーツ新聞の1面を見入っていた日本ハム中田が、ぽつりとつぶやいた。「こういうのがあると、本当に寂しいよね…」。在りし日のノムさんの声が、胸によみがえった。

中田 「お前は本当にいい選手になるよ」という言葉をもらったことも覚えているし、「いいケツしとんな~」と言われたことも覚えている。5~6年前、ぽ~んと言われた言葉。その他は、会ったら絶対、ヒゲと茶髪を注意されていたから。「お前、やめろよ、それ」って。

戦後初の3冠王に輝いたノムさんに、4番の素質を見いだされていた。2年前には、テレビ番組内で直接電話をもらったことがある。「ファンだから一生懸命応援しているよ」。いつも気に掛けてくれた偉大な先輩は、もう、いない。「素直にうれしい気持ちになった」。苦笑いを浮かべた顔は、さみしげだった。

この日、今キャンプで初めて実戦形式の練習に登場。打撃投手を務めたマルティネスの球を左前へ打ち返し、フリー打撃では気持ちよくバットを振った。目下、15日紅白戦(国頭)での出場をもくろむ。「状態は、ここ4~5年で一番いいんじゃないかな。俺の自己満(自己満足)かもしれないけど」と言い切るほど、プロ13年目のキャンプは快調だ。

ノムさんが3冠王になったのは、30歳の時だった。自身も野球人として円熟味を増す時期にさしかかり「(打者の)最高峰は3冠王。完全究極体は、そこでしょ」と、うなずく。「バッターをしている以上、みんなそこを目指す。俺も、もちろん頑張りたい」。願わくば“令和の3冠王”へ。鋭い目で、未来を見据えた。【中島宙恵】