広島は2日、ドーピング違反で日本野球機構(NPB)から出場停止処分を受けていたサビエル・バティスタ外野手(28)との契約を解除することを発表した。

バティスタとは17年6月に6年間の支配下選手契約を結び、18年には25本塁打を放つなど3連覇に貢献した。だが、昨年6月のドーピング検査で禁止薬物の陽性反応を示したことが8月17日にNPBから発表され、9月3日に6カ月の出場停止処分が発表された。

球団はドミニカにトレーナーを派遣するなど調査を継続してきたが、最後まで摂取した経緯や原因究明はできず、選手個人が主張した「故意でない」事実も立証できなかった。鈴木球団本部長は「契約の継続は止めようと判断した。ずっと調査をしてきたけど、最終的に原因を突き止められなかったのが事実です」と説明した。バティスタ本人には2月28日に契約解除が伝えられたという。

アカデミー出身で、練習生から育成選手契約をへて支配下選手登録された経緯もあり、球団は選手に対して情があったのも事実。それでもドーピングに対して厳しく向き合う姿勢を示したと同時に、ここまで1軍争いを繰り広げている現有戦力を信じたことで契約解除の結論に至った。佐々岡監督も「球団の判断に従うだけです。戦力的にはキャンプを通して堂林、安部、ピレラが好調を維持してくれている。松山も含めているメンバーで戦っていきたい」と前を向いた。【前原淳】

◆バティスタの処分解除までの経過◆

19年6月7日 ドーピング検査。

同8月16日 結果的にこの年最後の試合となるDeNA戦(横浜)に「3番一塁」で先発し、4打数無安打。

同8月17日 NPBが陽性反応を示したと発表。採取された尿検体から、禁止物質が検出された。バティスタの希望でB検体も検査し、この前日16日に同じ物質が検出された。広島はバティスタを出場選手登録から外し、自宅謹慎へ。

同9月3日 NPBがアンチ・ドーピング規定違反に対する制裁として、同日から20年3月2日まで6カ月の出場停止処分を発表した。

検出された禁止物質は、クロミフェンとその代謝物だったと明かされる。排卵誘発剤として使われる物質で、筋肉増強剤などを使用した際にホルモンバランスが崩れることを抑える効果もあるとされる。

同9月10日 広島がバティスタがドミニカ共和国に帰国したと発表。鈴木球団本部長は、20年から3年残す契約について「するかしないか分からないと伝えた」。

同9月23日 バティスタがドミニカ共和国のウインターリーグでプレーすると、所属する予定のエスコヒードが球団公式サイトで発表。出場停止期間中はNPBの試合に出られないほか、原則として球団施設での練習もできないが、ウインターリーグでのプレーは制限されない。

同12月2日 広島が保留選手名簿にバティスタを掲載。

20年3月2日 6カ月間の出場停止処分が解けるも、球団は契約を解除。

◆サビエル・バティスタ 1992年1月18日生まれ、ドミニカ共和国出身。15年に同国のカープアカデミーから来日。16年に広島と育成契約し、17年6月に支配下登録。同年6月3日ロッテ戦で初打席初本塁打。通算263試合出場で打率2割5分7厘、62本塁打、145打点。19年の推定年俸4000万円。189センチ、113キロ。右投げ右打ち。