広島ドラフト1位の森下暢仁投手(22=明大)が、西武とのオープン戦(マツダスタジアム)に先発し、5回3安打無失点と好投した。

昨季パ・リーグ王者から8三振を奪い、三塁を踏ませなかった。オープン戦3試合で11イニングを投げ、与四死球はわずか3つ。最速150キロ超の直球と多彩な変化球に加え、抜群の制球力も兼ね備える右腕。快投で開幕ローテーション入りを当確させた。

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森下は「精密機械」だった。最速151キロを記録した直球に加え、カットボールとカーブ、チェンジアップを操り、低めに集める抜群の制球力でストライクを積み重ねた。5回まで投げ、球界トップの打力を誇る西武の山賊打線に三塁すら踏ませなかった。「しっかり結果を出すことができた」と堂々と胸を張った。

プロ通算415本塁打を誇る中村には第1、2打席とも低めのチェンジアップで2打席連続で三振を“おかわり”してもらった。「会沢さんを信じてしっかりと投げ切ることを意識しました」。緩急を使い、終始テンポ良く両サイドへ投げ分け、散発3安打。8三振を奪った。本拠地デビュー戦で高い実力を証明した。

森下の制球力は球界トップレベルに匹敵する。西武戦は85球のうち56球がストライクゾーンだった。オープン戦3試合で合計166球を投じ、そのストライク率は66・3%。単純比較はできないものの、昨季先発のチーム最高は大瀬良の65・3%。昨季最多勝を獲得した巨人山口(現ブルージェイズ)の64・0%、日本ハム有原の65・2%をも上回る数字をたたき出している。

文句なしの投球で開幕ローテ入りが当確した。佐々岡監督は「投げるたびに良いものを出してくれている」。開幕ローテの有力候補だった九里が不調で2軍降格。床田も不安定な投球が続く中、安定して結果を出し続けている右腕に「当然ローテーション入ってやってくれると思う」と明言。第3戦の中日戦(マツダスタジアム)の先発が決定的となった。森下は「自分の場所をつかんで、その場所を離さないようにやっていきたい」と力強く誓った。

98年8月22日。「平成の怪物」松坂を擁する横浜が甲子園で春夏連覇を達成した日は森下が1歳の誕生日を迎える3日前だった。そこから22年の月日が流れ、怪物との投げ合いに勝った。広島に新時代の怪物が舞い立った。【古財稜明】

※一部データは共同通信デジタル「プロ野球分析データベース翼」による

▽広島沢崎投手コーチ いいものを出してくれた。変化球の精度がだいぶ上がってきた。(制球力があり)投手優位の立場で投球ができると思います。

▽広島会沢(森下について)「立ち上がりから自分の持っている球を投げられていた。かわす意味ではなく、向かってくるカーブもある。大したものです」

<広島開幕ローテ予想>

20日中日戦 大瀬良

21日中日戦 床田

22日中日戦 森下

24日ヤクルト戦 K・ジョンソン

25日ヤクルト戦 薮田ORアドゥワOR九里

26日ヤクルト戦 遠藤