日本野球機構(NPB)は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月20日からのプロ野球のシーズン開幕を延期することを9日、決定した。

Jリーグと行った第2回の対策連絡会議で専門家から感染拡大傾向が続き、感染予防への球場の準備態勢が必要であることから延期を提言された。その後の12球団の代表者会議で延期を決め、12日にも日程再編の代表者会議を再度、行うことを決めた。4月中旬の再開を目指す案で協議しているが、オリンピック(五輪)イヤーで全143試合を通常開催で消化するためのハードルは高い。

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日程再編が難しいのは五輪が、しかも自国で開催される特殊な年だからだ。7月21日から8月13日までが中断期間。まとまった空白の日程も少ない。レギュラーシーズンの予備日として確保されている10月中旬以降の約10日間はあるが、天候不順も考慮しなければならない。近年、シーズン終盤までの白熱したAクラス争いの根本であるクライマックスシリーズの短縮、または中止になれば、十分な代替の日程を確保できる。議論に挙がっている模様だが、興行面でのデメリットも大きい。

中断期間中の実施も難しい。五輪に選手を派遣するチームの戦力不均衡を生むことになる。中日加藤球団代表は「五輪期間中にやれるところがあるなら、やるべきじゃないかと個人的に思う」という声も上がったが、12球団の足並みがそろうかは疑問だ。

11月7日開幕の日本シリーズを繰り下げる案も浮上している。全球団が球場の確保をできるかは微妙で、中立地での開催も選択肢に入ってくる。12月まで日程をずらすには、選手と球団が交わす統一契約書に表示された参稼報酬期間(11月30日まで)を越えるため、選手会への同意が必要になる。いずれにせよ、見えない病原体により、何かが「犠牲」になってくる。