「チーム3冠」に躍り出る特大弾! 阪神大山悠輔内野手(25)がチームトップの3号2ランを放った。オリックスとのオープン戦の9回1死一塁。比嘉の直球を京セラドーム大阪の左翼5階席まで運んだ。

3打数2安打2打点で5試合連続安打とし、打率、本塁打、打点の3部門でチームトップと好調をキープ。開幕が延期となる中、三塁を懸けたマルテとの一騎打ちで必死のアピールが続く。阪神は3年ぶりにオープン戦勝ち越しを決めた。

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一振りで完璧に仕留めた当たりは左翼5階席まで届いた。9回1死一塁。変則右腕比嘉の初球、真ん中に入った140キロ直球を捉えた。6点差に広げるダメ押し弾だったが、試合後のコメントには大山の真面目な人柄がにじんだ。

「ホームランを打てたのは良かったですけど、その前の打席のチャンスで凡退しているところが一番印象がある。(チームが)イケイケの時にもう1点取れなかった、凡退した悔しさがあった」

6回の代打から出場。陽川の逆転3ランが出た後の7回2死二塁で、右腕荒西の前に一邪飛に倒れた。本塁打よりも得点圏での凡打を反省した。

昨年の開幕を「4番三塁」で迎えた大山は今、2年目のマルテと激しく三塁を争っている。夏場に4番の座を明け渡した相手だ。前日13日に2号を放ったライバルに負けじと3号を放ち、この日は3打数2安打2打点。5戦連続安打で打率3割7分1厘、3本塁打、5打点で「チーム3冠」と好調をキープするが、ここ4試合は途中出場だけに「スタメンで出られない悔しさというのも感じています。後からいく、何打席立てるか分からないという中でアピールしなくてはいけない」。1打席、1球たりとも無駄にはできない。

矢野監督は若き主砲の躍動ぶりを評価した。「キャンプの後半くらいから、ずっといい形が続いている。これが地力というか実力というか、当たり前になってくれるところまできてくれるとうれしい」。一騎打ちする2人が2日続けてアーチを懸け「競争が強くなる。うれしい誤算」とうれしい悩みは尽きない。

調子の上がらなかった春季キャンプ終盤。大山は指揮官から打撃指導を受けた。ポイントを前に置いて気持ちよく打つだけでなく、ポイントの前後の幅を広く意識する実戦向きのアドバイスだった。「まずは教えてもらったことを形にするところ。シーズンが終わった時に結果を見て、あれが良かったのかなとなるのが一番」。自分の納得するスイングができる確率を高めるため、映像などを見て試行錯誤を繰り返す。「確認できるところはしっかりして、反省して。明日に向けてやっていきたいと思います」。結果を出し続けた先に、開幕三塁は必ず見える。【奥田隼人】

▼大山とマルテ 昨季は開幕から、大山が「4番三塁」で固定された。マルテは一塁で5~7番に起用されることが多かったが、大山の不振で8月初旬以降、代わって4番に座った。今季はボーアが「4番一塁」の構想で、大山とマルテは三塁のポジションを争う。オープン戦ここまで三塁の先発は、大山3試合、マルテ8試合となっている。