<オープン戦:慶大7-3東海大>◇22日◇慶大グラウンド

慶大の最速151キロ左腕、佐藤宏樹投手(3年=大館鳳鳴)が東海大とのオープン戦に先発した。「真っすぐが指にかからなかった」と変化球中心の投球で3回1/3を投げ6安打3失点。この日の最速は141キロも「調子が悪い中での投球ができた」と前を向いた。

この2年間はケガとの闘いだった。1年秋には9試合に救援登板。キレのある真っすぐとスライダーを武器に、防御率1・03とリーグ優勝に貢献した。しかし、直後に左肘の靱帯(じんたい)を損傷。2年の7月には3度、自己治癒力を高める治療のPRP注射を受けた。「痛み止めも含めると、注射類は10本以上打ったと思う」と、手術せずに回復する方法を探りながら、リハビリを続けた。昨年は春に1度は復帰するも、今度は腰痛、脇腹痛に悩まされた。思うような結果が残せず、昨秋のチームの日本一も「チームに貢献できず、本心から喜べない自分がいた」と苦しい胸の内を明かした。

度重なるケガで「野球が楽しくなかった」という苦しい時期を支えたのは、故郷秋田の友人の応援だった。折に触れ秋田に帰ると、笑顔で迎えてくれる友に心が癒やされた。大館鳳鳴野球部から初の慶大進学で期待も大きい。「もう1度頑張ろう」。リハビリに耐え復活した。

高3春の秋田県大会では金足農と対戦。スタンドで観戦する吉田輝(現日本ハム)の前で力強い真っすぐを投げ込み、8-0の完封勝利を決めた。佐藤はその後の吉田輝の活躍に「いつか同じ舞台に立ちたい」と心待ちにしている。「(ドラフトで)指名されるなら1位で。とことん上を目指したい」と新型コロナウイルス感染防止のため、部を通してコメント。その目は、プロの舞台をしっかりと捉えている。【保坂淑子】