阪神の03年V戦士外国人が後輩助っ人勢に熱烈エールだ。ジョージ・アリアス氏(48)とトレイ・ムーア氏(47)が30日、日本プロ野球外国人OB選手会(JRFPA)開催のオンライン交流会に参加。03年に38本塁打を放った元主砲と10勝左腕はともに「違いを受け入れて楽しめ」とアドバイスした。当時、星野仙一監督から伝えられた情熱はいまも2人に息づく。約1時間のトークは矢野阪神への温かい思いがあふれた。

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あの喝采がよみがえる。JRFPAのオンライン交流会に参加したのはアリアス氏とムーア氏だ。言わずと知れた03年のV戦士。世界中が新型コロナウイルスの感染防止に努めるなか、米国の懐かしい顔ぶれから粋なメッセージが届いた。

午前11時からの開演。米アリゾナ州に住むアリアス氏はディナータイムの午後7時だったが「日本に思い入れがある。5万5000人の前でプレーできたからね。ストレスなく好きな野球をできたし、03年は特別な年だったよ」と満面の笑み。テキサス州在住のムーア氏も「たくさん思い出がありすぎる。いいプレーが簡単にできた。魔法のような1年」と振り返った。

夢心地に浸るのも無理はない。独走Vだった03年、アリアス氏は主砲として38本塁打、107打点をマークした。ムーア氏も先発左腕として10勝を挙げ、野手顔負けの痛烈な打球を放つ打撃も武器だった。優勝に貢献した2人は古巣の後輩に思いをはせた。今季は開幕時点では球団史上初となる助っ人8人体制。成功のコツを明かす。

アリアス氏 日本流をそのまま受け入れることさ。郷に従うというか、日本のチームに入って違うことは結構ある。抵抗せずに受け入れることだね。違いを受け止めて楽しめばいいよ。

ムーア氏 日本に来たときに何かやれと言われたら「なんでだ?」と聞くなと言われたものさ。やれと言われたことをやれれば、日本でプレーするのは楽しい。「楽しめ」と言いたい。

今季は4番最有力のボーアや中継ぎエースのエドワーズら、助っ人勢が矢野阪神の生命線になる。異国で活躍した男の金言は尊い。

アリアス氏はいま、ベースボールアカデミーで指導し、星野仙一監督の闘志に学ぶ。「いい結果、勝つことに注力する人。自分も、子どもを教えるときに、そのテクニックを使って勝つためにどうすればいいか伝えている」。ムーア氏は教育関係の仕事に従事。交流会の途中で突然、六甲おろしの1番を完璧に熱唱して盛り上げた。「日本のファンが恋しくて恋しくて仕方ない」。アリアス氏は自室の壁に背番号14のタテジマユニホームを飾り、ムーア氏も棚に投球写真を立てている。虎への愛情は片時も変わらない。【酒井俊作】

◆阪神タイガースの歌(通称・六甲おろし) 佐藤惣之助作詞、古関裕而作曲。全3番。1936年(昭11)3月25日に、大阪タイガースがコロムビアに球団歌制作を依頼して「大阪タイガースの歌」が誕生。61年に球団名が「阪神」に変わったが「大阪」と韻を踏む「オウオウ……」のフレーズはそのまま残った。優勝した85年にはレコードが大ヒットし、40万枚売れたと言われる。

○…アリアス、ムーア両氏のオンライン交流会は、主催したJRFPAにとって初めての阪神勢のイベント参加だった。6月には10年に47本塁打を放ったクレイグ・ブラゼル氏と、もう1人を調整中で再びタイガース勢によるファンミーティングを開催する予定だ。同会のツイッターなどで熱心に情報を発信している。