20年バージョンの強竜打線が開幕戦で粘り強さを披露した。7-7で迎えた延長10回、代打堂上が激闘にケリをつけた。ヤクルト今野の直球を振りぬくと打球はセンターへ高々と上がった。昨年、神宮球場で打率3割4分6厘、6本塁打の“ミスター神宮”が、勝ち越し犠飛を決めた。

「みんなの力で勝てた。チームで、いっしょにプレーができて良かった。開幕が決まった時点で100%の気持ちを持ってくるように練習してきた」。昨年プロ初の開幕スタメンを決め、今季はベンチスタートに戻ったがここ一番で勝負強さを発揮。チーム4年ぶりの開幕戦勝利。93年開幕戦の20安打に次ぐ、先発野手全員安打を含む18安打、9得点の猛攻で強竜復活を印象づけた。

打線に点火したのは来日5年目の4番ビシエドだ。初回2死一塁。石川の2球目、ツーシームを右翼スタンドへ運んだ。午後6時9分。先制1号2ランは来日1年目の16年以来2度目の開幕アーチ。新型コロナウイルス感染拡大で約3カ月遅れでスタートした今季12球団最速弾を含め3安打で、猛攻を引っ張った。

「いいスイングができたよ。積極的に行った結果が最速になっているんだと思う。逆転してチームが勝てたことがうれしい」。今月初旬に再開された練習試合では、打率3割7分9厘をマークし、本塁打もリーグ2位の4本。好調そのまま開幕戦の神宮で打線を勇気づけた。

先発大野雄が4回6失点で降板。4-7と3点を追う7回にも打線は粘った。アルモンテ、高橋が猛打賞を決め、1点差に迫ると京田の同点適時打で試合を振り出しに戻した。中日は昨季リーグ1位のチーム打率を誇ったが、得点力不足に悩んだ。だが6月の練習試合ではチーム打率2割7分5厘、17本塁打、得点力もリーグ2位の53得点。今年の竜には本塁へ返す力が備わってきた。

4時間49分の激闘は、チーム4年ぶりの開幕白星発進。救援陣も踏ん張り与田監督も感慨深げだ。「今年のこの勝利には特別な思いがある。勝負強さなど、練習でやってきたことがすごくいい形で出た」。待ちに待った3か月遅れの開幕戦。今年竜はひと味もふた味も違う。【伊東大介】

▽中日堂上(10回勝ち越し犠飛) みんながつないでくれた場面だったので、なんとか点を入れたかった。いい緊張感の中で打席に立つことができました。

▽中日京田(7回同点適時打) 大野(雄)さんの負けを消せて良かったです。

▽中日岡田(10回から登板、2死満塁にピンチを背負うも村上を空振り三振で初セーブ) 最高の場面でバトンを渡してもらえて、チームのために勝ちたかった。悔いのないように自分のパフォーマンスを出し切ろう思って投げた。勝てたことが本当にうれしい。

▽中日福(9回の1イニングを無失点に抑え今季初勝利) 緊迫した場面で投げさせてもらえてうれしかったし、抑えたことも自信になった。ビビらず相手と勝負できたところが良かった。

▽中日高橋(5打数3安打1打点) (守備で)いいプレーも出たし、1番はチームに貢献できたことが良かった。しっかり反省することところはして、また明日(20日)から頑張ります。