広島大瀬良大地投手(29)が開幕から2試合連続の完投勝利を飾った。最速148キロの直球を軸に、打たせて取る投球で9回8安打1失点。最終回は2死満塁のピンチも、無失点に切り抜けた。132球の力投だった。「根気強く投げようと思った。なんとか最後まで投げることができてよかった」と笑顔をみせた。打っても2試合連続マルチ安打と攻守に躍動した。

エースとしての自覚が芽生えた。今オフは自主トレに床田を誘い、春季キャンプ中は新人の森下を休日の練習に誘うなど、自ら先頭に立ち、後輩を鼓舞した。「黒田さん、マエケンさんもそうでしたし、たくさんの先輩投手の方々がいろんなことを教えてくれた。それを良い形として、若い子につないでいって、カープの良い伝統にして、これからもどんどん続いていってほしい」。覚悟と責任感を胸に、背中でチームをけん引していく。

開幕投手が開幕戦から2試合連続完投勝利は、98年の日本ハム岩本勉以来、22年ぶり。球団では84年の北別府学以来、36年ぶりだ。「先発をやっている以上は最後まで投げたい。偉大な先輩と名前を連ねることができるのはうれしい」。北別府氏が現在、成人T細胞白血病(ATL)と闘病しているだけに「こういうところで北別府さんの名前を出してもらって、少しでも励みになってもらえたらいいですね」。鯉の新エースが、これから新たな歴史を刻んでいく。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(大瀬良について)「(9回は)任すという気持ちが強かった。エースとして本人も『行く』ということでマウンドに上がったと思う」