ロッテ小島和哉投手(24)が、西武高橋光成投手(23)との68年ぶりとなる甲子園同年優勝投手対決を制し、今季2勝目を挙げた。7回途中1失点、要所で球威が落ちなかった。小島は13年春に浦和学院(埼玉)のエースとして、高橋光は同年夏に前橋育英(群馬)のエースとして、ともに2年生ながら好投を続け、母校を甲子園初優勝に導いた。あれから7年。夢の舞台で進化を続ける。

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小島は強い目で射貫き、果敢に投げた。初回、いきなり山賊たちにつかまり1死一、三塁のピンチ。3戦連続で初回に失点中。またか…の流れを自ら断ち切った。山川をカットボールで、森を内角直球で、それぞれわずか1球でどん詰まりのフライに仕留めた。

「あまり欲を出さずに投げられたのが良かったと思います」と振り返る。言葉とは裏腹に、猛者たちを差し込めるだけの威力があり、低く制御もされていた。高校時代に無双を誇った内角攻めに加え、早大4年夏から本格的に配球に組み込んだカットボール。結果の求められたマウンドで生かしきった。

好調だった6月上旬から一転、開幕後は制球が乱れた。先発ローテ唯一の左腕と期待されながら、15日の日本ハム戦ではついに5回を投げきれず。「悔しかった。しっかり学んで、この試合に勝てれば」と、強い覚悟をもって臨んでいた。

高校球児のころから、U18侍ジャパンの同じユニホームに袖を通すなど、交流がある高橋光との投げ合いにも「多少は気になります」と話す程度だった。1軍投手として、自立が求められるプロ2年目。この1週間、笑顔も見せず、1人黙々と調整を続けた。高3夏の大会直前の練習試合以来、6年ぶりとなる投げ合いが、勝負のマウンドと重なっただけだ。

森への内角直球は、勝負どころの布石にもなった。6回のピンチ、今度は一転して緩めのスライダーで森を併殺に打ち取った。先発投手としての幅の広さを見せ「西武のクリーンアップに、思い切り攻め込んでくれました」と井口監督も度胸をたたえた。

この1勝の価値は大きい。負ければ3連敗、最大で7つあった貯金も消えてしまっていた。小島が投げる水曜日では、実に4週間ぶりの勝利だった。取り返し、もっと存在感を強めていく。もうウラガクでも、ワセダでもない。ロッテのオジマだ。【金子真仁】

◆小島和哉(おじま・かずや)1996年(平8)7月7日生まれ、埼玉県出身。浦和学院で甲子園に3度出場。13年センバツでは5勝0敗、防御率0・64でチームを初優勝に導いた。早大では2、4年秋に最優秀防御率に輝くなど、リーグ通算22勝。4年時には主将を務めた。18年ドラフト3位でロッテ入団。通算15試合で5勝7敗。今季推定年俸1700万円。177センチ、85キロ。左投げ左打ち。