阪神青柳晃洋投手(26)の好投が7回の逆転劇を呼び込んだ。1点を追う、その回の攻撃。1死一塁で打席を迎える際、代打福留を送られた。ベンチで懸命に声援を送った。視線の先で、北條が逆転打を放った。6回2安打2失点でリーグトップタイの4勝目。「逆転してくれた野手の方々に感謝です」。打線に感謝の言葉を述べたが、青柳の奮投も試合をひっくり返す流れへの1つだったことは間違いない。

序盤は苦しんだ。2回2死一塁から8番木下拓に四球。さらに投手の大野雄にも四球。2死満塁から1番井領に中前2点打を打たれた。立ち上がりは制球を乱す場面が目立ち、2回まで39球も費やした。1週間前の同じ中日戦では2回まで26球で無失点と抜群の立ち上がりで流れを呼んでいただけに、対照的に映った。

「足が止まって投げているぞ」との助言を受け、下半身で投げるイメージを強めた。3~5回の3イニングで39球。3~6回の4イニングは打者12人連続アウトと完璧に封じた。4回には石川昂の打球を受けるシーンもあったが動じず、試合をつくった。6回まで18アウトのうち、犠打をのぞいて三振とゴロで15アウトを稼いだ。気がつけば、自身のペースに引き込んでいた。

「立ち上がりからボールが先行してしまい、無駄な四球を出してしまいましたが、そこから何とか修正することができました」。昨年は9勝9敗。貯金をつくれず、2ケタに1勝届かなかった。今季、常に登板する試合について「全部勝つつもり」と公言する。登板5試合はいずれもカード初戦で4勝1敗。防御率もチームトップの1・80で、規定投球回数に到達してリーグ3位にランクインした。「チームが勝っているのがうれしい」。虎投の柱の1人として背番号50が腕を振り続ける。【松井周治】