2位ロッテが、首位ソフトバンクに1ゲーム差のまま食らいついた。初回、23分間の攻撃を繰り広げ、安田尚憲内野手(21)の適時三塁打などで3点を先制。日本ハムに終盤に迫られ結果的には1点差勝利だったが、猛攻は最後まで効いた。井口資仁監督(45)の展望通りの白星で15日ぶりの連勝。再び勢いに乗った。

    ◇    ◇    ◇

若き4番安田には、すばらしい手本がいる。初回1死二塁。試合開始から12分、日本ハム上沢はすでに23球を投じていた。

1番荻野が11球、3番マーティンが8球。「球数を多く投げさせて粘って。先輩方のそういう姿勢を見て、自分も何とか食らいつこうと」。追い込まれても2球ファウルにし、獲物は7球目の浮いたチェンジアップ。自身初の三塁打が、2点目を呼び込んだ。

続く5番井上が初球を適時打にし、3点を奪った。23分間で41球。初回の40球超えは今季3度目だ。井口監督が試合前に「被打率が低い投手。なかなか連打できない。ワンチャンスをしっかりものにしたい」と展望した通りの展開。「初回から全員が(対策通りに)できた」と喜んだ。

上沢には4戦4勝だ。いずれも初回、ファウルで粘る選手がいる。安田は「エース格で簡単には打てない。厳しい球はファウルにし、甘い球をどれだけ捉えられるか」と意識した。球場入り前から、スコアラー陣から念入りに情報収集。「試合前から始まっていると思っています」と、準備の大切さをかみしめる。

バットを数試合だけ高めに掲げたが、周囲のアドバイスで元に戻し、いきなり3安打を放った。「引きずらないよう、日々新たに」と柔軟にシーズンを進める。日替わり打線ながら、4番安田だけは固定され、60試合以上が過ぎた。深めた経験を、バットで存分に示すべき季節になった。【金子真仁】