広島石原慶幸捕手(41)が16日、マツダスタジアム内で引退会見を行った。
長く広島の正捕手を務め、16年の25年ぶり優勝から3連覇に貢献。球団捕手最多となる通算1619試合に出場した。今季は出場わずか3試合にとどまる。世代交代を図る球団の方針もあり、引き際を悟った。低迷期からチームを支えた名捕手が、現役生活にピリオドを打った。
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-引退はいつ頃から考え、いつ決断したのか
石原 年も重ねてきて、そのシーズンごとに勝負だと思っていた。考えたのは2軍に落ちてから1軍に上げていただいた、そのへんですね。
-低迷期から3連覇へとチームは変わった
石原 入団してからなかなか勝てずにBクラスにいることが多かった。3連覇できたきっかけは黒田さん、新井さんが帰って来られたことが大きいと思います。
-どのように変わった
石原 やっぱりチームのために、みんなのためにという気持ち。今もそう思ってやっていると思いますけど、投手陣の中での一番上の黒田さんや野手で一番上の新井さんが自ら示してくれていたので、若い子にすごくいい影響がありました。変わって、本当のチームになった。
-球団捕手最多出場
石原 必死に過ごした時間だったので、なんでできたのか自分ではよく分からない。1つは、幸いなことに大きなケガもなくプロ野球生活を送れたということがありますけどね。
-捕手の醍醐味(だいごみ)は
石原 投手をリードして。1人だけ反対向きに座って全部を見渡せるポジション。その中で試合を動かせるポジションだと思う。そこが醍醐味(だいごみ)だと思います。
-印象に残る投手
石原 誰か1人というのは難しいんですけど、僕の中では黒田さん。投げている姿、存在感は本当に記憶に残っています。
-教えられたこと
石原 チームがどう勝つか、そのために自分が何ができるか、それを一番に教えられた。
-チームに残したいもの
石原 カープはみんなで同じ方向を向いて戦っていくことで勝っていくチームだと思うので、苦しくて、大変なのは分かっていますけど、頑張ってほしい。
-黒田氏、新井氏への報告は
石原 決断したときに黒田さんと新井さんと、アツ(会沢)にも自分の気持ちを伝えました。
-会沢選手に伝えたこと
石原 今はコロナの影響もあって、なかなか一緒に食事をすることもできない。電話で伝わり方が難しいと思うので、自分で決断したことは伝えて。ゆっくりまた、という感じでした。
-大きなケガなくやれた要因は
石原 両親が丈夫に産んでくれたことじゃないですか。ケガを恐れてプレーしていたわけではないですし、幸い僕の野球人生は振り返ってみれば大きなケガがなかったという感じなので。もちろん、ちょこちょことありましたけど、そのときはトレーナーであったり、裏方の人たちのおかげで何回も助けられました。
-低迷期が長かった
石原 若いときに試合に出させていただいて、チームが勝てない中、やっぱり苦しかったですね。勝たないとうれしくもないし、苦しいというのが率直な感想。
-前を向けた原動力
石原 やっぱりファンの方ですね。自分が思うように出来ないときであったり、チームがなかなか思うような成績を残せない中で、いつも応援してくれたファンの方のおかげで頑張れたと思います。その中でとにかく勝ちたい、という気持ちがずっとありました。
-胸を張れる数字は
石原 捕手でもっと偉大な数字を残した人はいっぱいいますし、自信をもって胸を張れることはないです。
-コロナ禍で報道陣が少ない会見となった
石原 それも分かっていたことですし、人生の中でこれもいい経験じゃないですか。めったにないと思う。
◆石原慶幸(いしはら・よしゆき)1979年(昭54)9月7日、岐阜県生まれ。県岐阜商-東北福祉大を経て01年ドラフト4巡目で広島入り。09年WBC日本代表。最優秀バッテリー賞は3度で、10年、13年に前田健太と、16年に野村祐輔と受賞。25年ぶり優勝の16年はともに自身初のベストナイン、ゴールデングラブ賞に選出。18年には史上最年長の38歳8カ月で通算1000安打を達成した。広島の捕手では初の1000安打だった。177センチ、90キロ。右投げ右打ち。
▽広島元投手・黒田博樹氏 僕自身も現役時代はたくさん助けてもらった。言葉で伝えるのは難しいが、サイン交換の指先1つで、こちらに安心感を与えてくれるキャッチャーだった。先頭に立ってというよりも、常に縁の下でチームを支え、若い投手を育てることを心がけていたと思う。激務の捕手を長く続けるのは大変なこと。19年間、最後まで務め上げたことは称賛に値すると思います。
▽広島会沢 僕のプロ野球人生の中ですごく影響を受けた先輩の1人ですし、寂しいです。一緒にやってきて、いろんなことを教えてもらって、今は一言では表しきれない感情があります。黒田さん、新井さんから流れてきているいいところは若い子に引き継いでいければと思います。