育成入団の日本ハム樋口龍之介内野手(26)が25日、球団史にも刻まれるプロ初本塁打を放った。楽天24回戦(楽天生命パーク)の9回に左翼席へ1号ソロ。昨年育成ドラフト2位で入団し、9月22日に支配下登録を勝ち取ったオールドルーキーが、ドラフト会議前日に成長の証となる放物線を描いた。直前には、清宮幸太郎内野手(21)が自己最多タイの7号ソロ。若きスラッガーの連弾で、大敗にも一矢を報いた。

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最後はしっかり、スタンドまで届いた。9回の第4打席。樋口は「行くかなぁ」と高く舞い上がった打球を見つめて走りだした。フルカウントから、内角高めの直球を思い切って振った。左翼手がフェンス手前でジャンプ。「“また”捕られたかなと思いました」。3回は柵越え寸前の打球を楽天右翼手・田中和に「ホームランキャッチ」された。だが今度こそ、待望のプロ初本塁打。チームメートからの祝福に、照れくさそうに笑みを浮かべた。

座右の銘は「人生紙一重」。昨季まで所属したBC新潟時代に、世話になった知人がよく使っていた言葉を拝借した。「実際にここ(日本ハム)に入れたのも、紙一重じゃないですか。僕だけじゃないですけど、本当に探せば、(プロに)入れたんじゃないかという選手はいくらでもいる。だから、紙一重じゃないですか? 」。

立正大時代はプロ志望届を提出したが、指名漏れ。BC新潟で実力を磨き、育成指名ながらNPBへの扉を開けた。イースタン・リーグでも打ちまくって9月22日に支配下登録。出場20試合、55打席目での1発は、球団史上初めての育成出身選手のアーチでもある。「ホッとしてます。とりあえず」。諦めずに、この舞台を目指して努力を続けてきたことで、紙一重の人生は軌道に乗りつつある。

昨年のドラフトから1年余りが経過した。「早いなぁ」と少し感慨に浸ったが、これがゴールではない。「もらえたチャンスを自分でものにしていけるように、準備はしっかりしていきたい」。人生紙一重。肝に銘じて精進し、分厚い野球人生にしていく。【木下大輔】

▽日本ハム栗山監督(プロ初本塁打の樋口に) 本当に苦労している中で、ああやって持ち味である思い切りのよさが出るのは、すごくいいこと。

▽楽天ロメロ(4打数4安打2打点。本塁打が出ればサイクル安打達成も逃し) 意識した? オフコース!