楽天は12日、石井一久ゼネラルマネジャー(GM、47)が来季から監督を兼任することを発表した。今季監督を務めた三木肇監督(43)は2軍監督へと配置転換される。

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石井GM兼任監督誕生の裏には「短期的」「中・長期的」成果の二兎(にと)を追う意図がにじむ。就任1年目の三木監督続投を基本線にシーズン中から話し合いが進められたが、シーズン終了後、三木谷オーナーら球団幹部と改めて協議。石井氏に昨オフに続いて「GM兼任監督」の案が振られた。8年ぶりのリーグ優勝へ「短期的」結果を求められ、来季のタクトが委ねられた。

昨年、新体制発足時に「(3位は)僕の中では3段階に分けたらBクラス」と話し、2年連続での監督交代劇を迎えたが「中・長期的」観点からは外れていない。1、2軍全体を俯瞰(ふかん)し個々の能力、状態を細部まで把握。約2年のGM経験を踏まえ、育成面へのアシストを現場から直接行うことができ、現場で感じるチームの長所短所を編成面へも還元できる。今季もグラウンドで首脳陣と密にコミュニケーションをとる姿が目立ったが、ベンチに入り、いっそうの連携向上が見込まれる。

一方、三木監督は若手選手、コーチへの指導力を高く評価され、監督に限らず、さまざまなポストに就く可能性を持って球団と複数年契約を結んでいる。1軍監督の経験を踏まえ、2軍監督としてファームの底上げを担う。1軍監督再登板も視野に入れながら選手とともに鍛錬を積む。

石井GM兼任監督は今季途中にトレードを4件敢行。巨人へウィーラー、高梨を放出する一方、未来を見据え、若手投手の高田、捕手の田中貴らを獲得。来季は手薄な先発投手陣に自ら当たりくじを引き当てたドラフト1位の早大・早川も加わる。充実の戦力をもって巻き返しを図る。【桑原幹久】