阪神矢野燿大監督(51)が12日、大阪市内の阪神電鉄本社で藤原崇起オーナー(68=阪神電鉄会長)にシーズン終了報告を行った。来季のコーチングスタッフも発表され、1、2軍コーチ陣の配置転換や新入閣、さらに「バント担当」「分析担当」の職責追加も発表された。バント担当は球界でも異例で、貪欲に1点を取りにいく姿勢がうかがえる。矢野監督3年契約の最終年の来季、総力を挙げて16年ぶりのV奪回を目指す。

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今季全日程終了から一夜明け、矢野監督が来季への思いを言葉に乗せた。藤原オーナーへのシーズン終了報告。内容について言った。

「全力を尽くした結果ですけど結果を受け止めて、来季精いっぱい戦っていきますということです」

60勝53敗7分け。順位を19年3位から1つ上げての2位。巨人との直接対決で8勝16敗と負け越したことなどが響いてリーグ優勝を逃した一方、貯金は19年「1」から「7」に増えた。もう1つ順位を上げるため、21年シーズンは大きな成長を遂げてみせる。

悲願Vへ、解消すべき課題の1つは守備面。85失策は12球団ワースト。「大きな全体の課題として残りました。全員の意識、準備、気持ち、そういうものがあってこそ改善される。チーム全体、僕たち首脳陣の立場からも、しっかりやっていきたい」と語ると、打線の課題も挙げた。

「もう1点取りたい、取れるところで点を取れなかった。泥臭い1点というか、そういうものをどう取っていくかという部分も課題かなと思ってます」

発表されたコーチ陣容にも、その課題克服への決意が表れた。久慈内野守備走塁コーチの肩書は「内野守備兼バント担当コーチ」に、筒井外野守備走塁コーチの肩書は「外野守備走塁兼分析担当コーチ」に変更され、新たな職責が追加された。指揮官は狙いについて「担当がある程度はっきりした中で、やってもらうのも必要かなというところ。新たに『バント』や『分析』とかを付け加えさせてもらった」。バント担当の名称は球界でも珍しく、貪欲に1点をもぎ取りにいく思いがうかがえる。

分析担当の役割については「試合が始まる前の準備の段階。守備も走塁も打撃も、来た球を打つだけではなかなか結果が出ない、ただ単に足上がってからスタートするだけでは盗塁できない。準備のレベルを上げるのがひとつひとつの成果、勝ちにつながる。そういうところの意識をより高めていこうと」。チーム力をもう1段階上げ、優勝を。就任3年目の21年こそVロードを歩んでみせる。【松井周治】