侍ジャパン稲葉篤紀監督(48)が「五輪モード」で約1年ぶりにタクトを振るった。宮崎で無観客で行われている若手主体のフェニックスリーグで日本ハムの指揮官として西武と対戦。来年に延期となった東京五輪前の貴重な実戦で「選手には2日間は勝つ、勝利を目標に采配を振るのでやってくださいとお願いをした」と、世界一に輝いた昨年11月のプレミア12と同様に勝負にこだわった。

ベンチ入りは19人で野手は13人。先発陣を加えれば五輪本番の24人に近い環境だった。同点の均衡状態。7回2死一、二塁で8番捕手の梅林に代打を送るか頭脳を回転させた。「(代打を)出して1点を取りに行く作戦もあるし、守備という意味ではあの後、0点に抑えていけばチャンスが来る」。自重し、勝ち越し点は生まれなかったが、五輪での延長タイブレークも想定しての選択に納得した。

引き分けたが、五輪直前まで強化試合を組めない中で糧となる。27日の中日戦では、有事に備えて一塁コーチの井端コーチを三塁に配置する。日本シリーズでもソフトバンク工藤監督、巨人原監督の采配から学んだ。「五輪が延期になったことでもう少し時間があるなと思い今年1年を過ごしてきたが、あらためて来年に向けてしっかりやろうという気持ちになった」と準備を積む。【広重竜太郎】