ロッテは今季、山あり谷ありのシーズンの果てに2位に躍進した。選手、首脳陣の言葉の数々から2020年を全3回で振り返る。今回は前編。【構成・金子真仁】

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◆「このまま何もせずに終わりたくない」(藤原恭大外野手)

1月7日、浦和での自主トレにて。大阪桐蔭で甲子園春夏連覇を果たし、プロ生活はまだ2年目が始まったばかり。危機感、とも口にした。意外すぎる言葉に高い意識を感じた。

 

◆「キャンプでは少しでも誰かの目に留まるように」(森遼大朗投手)

1月18日朝、浦和での自主トレにて。育成3年目。雪の中で1人、ランニングに精を出す。朗希フィーバー必至の中、何とか自分も…の思いに満ちていた。

 

◆「フルーツが好きなので、イチゴを食べたらある程度は大きくなると思います」(福田光輝内野手)

1月31日、石垣島で児童養護施設を訪問。何を食べたら大きくなれますか? の質問に回答。小笑いだったが、優しさと温かさにあふれる答えだった。

 

◆「結構、僕のうわさが流れるじゃないですか。こういう感じの人だよ、とか。でもたぶん、結構違うと思うんですよ」(佐々木朗希投手)

2月6日、石垣島でのインタビュー。自由な発信をお願いしたところ、23秒間考えた末、こう答えた。実像と虚像。フィーバーの裏で首をかしげていた。

◆「初めて受けるような感覚。速さも質も。強い球だったので腕が張っちゃいましたね。負けないように力が入っちゃうので」(柿沼友哉捕手)

2月13日、田村とのじゃんけんに勝利し、佐々木朗初ブルペンの捕手役に。重厚音を響かせ続けた。

◆「仲悪いとかいろいろ問題もあるかもしれないけど、みんながいて僕がいる、それを感じるいい機会にしてほしい。仲間の大切さを見つめ直してほしい」(井上晴哉内野手)

3月1日、コロナ禍で休校が続く子どもたちへのメッセージ。心優しいアジャらしい言葉だった。

◆「あとは経験と場数。どんな仕事でもそうでしょう? 彼にその時間があるかは分からないけどね…」(大塚明外野守備走塁コーチ)

3月1日、和田の試合後の居残り特守を終えて。育成3年目で近づくタイムリミット。期待と現実を言葉に出した。

◆「なかなか練習できる場所もなかったですし、野球をできるありがたさは、そのままタイガースでやってたら感じられなかったと思う」(鳥谷敬内野手)

3月17日、入団後初の2軍での実戦を終えて。キャンプ終了後にロッテ入団。走塁など実戦で感覚を試していたのが印象的だった。(中編へつづく)