巨人の「メガゴジラ」が本家「ゴジラ」にも並んだ。球界最長身2メートルのドラフト5位、秋広優人内野手(18=二松学舎大付)が、7日の日本ハム戦(札幌ドーム)で2安打を放った。巨人高卒新人のオープン戦マルチ安打は、1993年(平5)松井秀喜以来28年ぶり。6日には07年坂本以来となる球団高卒新人のオープン戦安打を記録しており、2日連続で大先輩に肩を並べた。次のターゲットは開幕スタメン。59年王貞治以来となる抜てきも見えてきた。

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乾いた甲高い打球音で、秋広がゴジラの記録を呼び覚ました。7回。1ストライクから日本ハム鈴木健が横手から投げた143キロをしなやかに捉えた。ライナー性の打球は、あっという間に中前へ達した。松井以来となる巨人高卒新人のオープン戦マルチ安打。坂本の記録に続き、2日続けて大打者に並んだ。原監督も「並ではないよね」と真剣な顔で18歳を評した。

春季キャンプは2軍スタート。紅白戦で結果を出し、場数を踏ませる意向もあって1軍に昇格した。2月17日の練習試合初戦からは、3試合は9打数1安打。直球に差し込まれ、壁に直面したかに思えた。

ここからが、並のルーキーと違った。キャンプ序盤には「そのままでいい」と打撃に手を加えなかった原監督から、直接指導を受ける機会が増えた。この日も試合前、ノックバットを手にした指揮官から「懐を深く」と教わり、すぐにものにした。「指導を受けてから感触も良く、その意識で打席に立って2本打てた。真っすぐに対応できるようにというのは意識しています」。対外試合の8安打中、7本が直球。修正能力が光る。

2日には、全体練習を訪問した長嶋終身名誉監督から「松井に劣らない」と声を掛けられ、大成の儀式とされる“ボディータッチ”も受けた。2メートルの全身に眠っていた能力が、周囲の想像を超えるスピードで芽吹いている。原監督も「自分で少しレベルを上げて未知の部分まで来たというところだから、少し押してあげた。真っすぐが打てるようになるのが非常に重要なことで、そこが一番難しい。あれだけの打球ってなかなかね」と目を細めた。

次に見据える高卒ルーキー記録は、伝統球団で60年以上も眠っている、王が持つ開幕スタメンになる。一塁候補だった新外国人スモークは新型コロナの影響で来日未定。ベテラン中島は12日オリックス戦(京セラドーム大阪)で合流予定だが、まだ身長が伸びているという無限の可能性を秘めた秋広がもぎ取る可能性は十分にある。「教わったことをすぐに実戦に生かせるようにやっていきたい」。大きなストライドで、偉大な先輩の記録へと近づいていく。【浜本卓也】