「メガゴジラ」が「ゴジラ」に並んだ。

巨人ドラフト5位の秋広優人内野手(18=二松学舎大付)が、球団高卒ルーキーでは93年の松井秀喜以来となるオープン戦での打点を挙げた。1点を追うソフトバンク戦の2回1死満塁、遊撃への適時内野安打で3試合連続安打を決めた。この日は、3打数1安打1打点。7日の日本ハム戦では松井以来のマルチ安打もマークしていたが、高卒レジェンドの記録にまたも肩を並べ、59年王貞治以来の高卒新人の開幕スタメンが見えてきた。

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がむしゃらに一塁まで走った。秋広は1点を追う2回1死満塁、ソフトバンク杉山が2球続けた縦に大きく曲がるスライダーに狙いを定めた。フルスイングも打球は遊撃前にボテボテに転がった。「終わったと思いました…」が本音。50メートル6秒2の快足をとばし、適時内野安打とした“プロ初打点”をマーク。「打点がついたことはうれしいです」と18歳らしく無邪気に笑った。

オープン戦に入りレジェンドたちの記録をわしづかみにしてきた。初安打、初マルチに続き、本家ゴジラ以来の初打点にも手を掛けた。高校2年の冬からの「心のやる気スイッチ」がプロ入り後も継続的に上昇気流をもたらしている。当時、夕食時に500グラムを盛ったラーメンどんぶり3杯の白米をノルマにしていた。胃袋に流し込むので精いっぱいだったが、自発的に炊飯器に足が向かうようになった。

1軍最年少としてキャンプ途中から先輩たちの輪に加わった。必死に食らいつく姿勢の中で吸収力と実行力が際立つ。7日の日本ハム戦の前に原監督からバットの出し方を教わった。この日の試合前にもアドバイスを受けると、打席に入る前にも同じ動作を繰り返して確認した。「高卒1年目で試合に出させてもらって、コーチの方や選手の方、監督もたくさんアドバイスをくれる。それがいい結果になっているのかなと思います」と感謝が原動力にもなっている。

胸にとどめる言葉がある。「野球は心でやるもの」。高校入学時から潜在能力を引き出してくれた二松学舎大付の市原勝人監督(55)から3年間、投げかけ続けられた言葉だ。2年連続で日本一を阻まれた難敵ソフトバンクを相手に、この日はチームで唯一フル出場した。「(ドラフトで)ジャイアンツに決まってテレビで見ていた。自分も優勝に貢献できるようにやっていきたい」。身長2メートルの超大型新人がリベンジに燃える巨人の一員に加わった。【久永壮真】