堂々の船出だ。日本ハム初の道産子1位ルーキー伊藤大海投手(23)が3月31日、西武2回戦(札幌ドーム)に初先発し、プロデビューを飾った。5回に痛恨の1発を浴びたが、6回4安打1失点、毎回の8奪三振の好投を披露。両親が見守る中、故郷北海道でプロの第1歩を踏み出した。試合は今季初の9回打ち切りで1-1の引き分けとなった。

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悔やまれる1球だった。4回まで無失点投球を続けていた伊藤が、痛恨の1発を浴びた。5回先頭の呉念庭にカウント1-2から、145キロ直球を右翼席へ先制のソロアーチを運ばれた。「あらためて1球のこわさを知った。気持ちで最後押していかなきゃいけない場面、配球で外の真っすぐ要求だったのが、ミスしちゃいけない方にミスしてしまった」と反省した。

オープン戦では投げていなかったチェンジアップをこの日即席で初回から使用した。数日前にキャッチボールで試しはしたものの、厚沢投手コーチは「ダルビッシュも試合前のキャッチボールで遊んでいるのをすぐ使っちゃうタイプだった。そのへんの感覚が似ている」と器用さに太鼓判を押した。1発こそ許したが、6回4安打1失点で毎回の8奪三振。初回には源田と中村にこの日最速の150キロをマーク。堂々たるデビュー戦だった。

信念を貫いてきた。北海道鹿部町で漁師をする父清光さん(51)と母正美(51)の間に生まれた。駒大苫小牧をへて進学した駒大を中退。苫小牧駒大に再入学することも自分の意思で決めた。

つらい時も家族にほとんど言わなかった弱音を1度だけ吐いたことがある。駒大苫小牧時代、過酷な練習が続き、母にLINEで「『パパの後を継いでもいいかなあ』」とこぼした。でも夢を追う伊藤はブレなかった。めげずに歯を食いしばり、数日後には母へ「もうちょっと頑張ってみるわ」とメッセージ。諦めなかったからこそ今がある。

ずっと夢見てきた舞台で、この日そろって観戦に訪れた両親に勇姿をみせることはできた。父は「頑張ったねと言いたい」、母は「1つずつ試合をこなしていってくれたら」と話した。伊藤は「せっかくだったら勝ち試合を見せたかった、そんな甘い世界ではない。少しずつ成長してかっこいい姿をみせられたら」と活躍を誓った。【山崎純一】

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