今季1軍に初昇格した広島小園海斗内野手(20)が、1安打2打点といきなり躍動した。打撃不振の田中広に代わり、ヤクルト戦に8番遊撃で先発出場。2回の第1打席で一時同点のタイムリーを放つと、4回には内野ゴロの間に2打点目を稼いだ。チームはカード負け越しで引き分けを挟んで2連敗。開幕戦以来の借金生活に突入したが、小園が得点力不足のチームに勢いをもたらす存在になる。

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小園が水を得た魚のごとく、グラウンドを駆け回った。1点を追う2回2死一、二塁で迎えた今季初打席。「絶対にやってやろうという強い気持ちだった」と、カウント1-1から金久保の内寄り145キロ直球を引っ張った。打球は一、二塁間を破り、二塁から一時同点の走者が本塁へ生還した。

「初球から振れたので、気持ちが楽になった。チャンスだったので、楽しめたと思います」

再びチャンスで迎えた2点を追う4回の第2打席。1死一、三塁から小園が放ったゴロは二塁へ。全力疾走で一塁を駆け抜け、併殺を免れた。その間に2打点目を記録。6回には犠打を1発で成功。守っては4度の守備機会を無難にこなした。佐々岡監督は「しっかりと打ってくれたし、守る方もしっかりしてくれた。ハツラツと元気よく、失敗を恐れずにやってほしい」と評価した。

待望の1軍の舞台で躍動した。19年は新人ながら58試合に出場し、4本塁打をマークするなど将来性を感じさせるシーズンになった。しかし昨季は打撃不振などに苦しみ、1軍出場はわずか3試合で無安打に終わった。今年2月の春季キャンプは2軍スタートで開幕1軍入りも逃したが、ウエスタン・リーグで打率3割と結果を残し、20日に1軍に合流。しかしチーム事情で昇格が見送られ、翌21日は2軍に逆戻り。そして再び1軍に招集された。昇格即スタメンでの起用に、しっかり結果で応えた。

今年1月には結婚し、夫人もこの日球場に応援に駆けつけていた。「結婚もしたので、より一層強い気持ちで絶対に負けない、ポジションを取りにいく気持ちできた。その気持ちを忘れずにやっていきたい」。得点力不足で停滞していたチームに、若手のホープが一筋の明るい光をもたらした。【古財稜明】

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