「栗山還暦マジック」がさく裂した。26日に60歳となった日本ハム栗山英樹監督がソフトバンク戦(ペイペイドーム)で打撃不調の中田翔内野手(32)をプロ初の「2番一塁」でスタメン起用。

6打席で4出塁2得点と期待に応えた中田の活躍もあり、指揮官は還暦初勝利。チームも1分けを挟んで連勝で、昨季から続いていた対ソフトバンク戦の連敗も11で止めた。

   ◇   ◇   ◇

還暦を迎えた栗山監督が、上位浮上へ勝負手を繰り出した。「いろんなことを本当に考えて、いろんな根拠を持って、このチームが連勝するために手を打っているつもり」。試合前のスタメンコールに場内がざわついた。「2番、ファーストベースマン、中田翔」。悩める主砲をプロ14年目で初めて「2番」でスタメン起用。大胆な用兵が、試合開始直後から功を奏した。

2番中田が快勝の起点だった。初回は冷静にボールを見極めて四球を選んで出塁。二塁へ進むと渡辺の中前打で先制のホームを踏んだ。じわじわ追い上げられていた6回には左翼フェンス直撃の二塁打でチャンスメークし、西川の適時二塁打で生還。2番中田が要所で流れを引き寄せた。

6打席で4出塁と仕事を果たした中田に引っ張られるように3番以降の西川、近藤、渡辺、大田の4人で9安打7打点と躍動。栗山監督も「やっと普通の形にチーム全体がなり始めた」と、投打がかみ合っての快勝に手応えがにじんだ。その理由は昨季から11連敗していたソフトバンクに仕掛けて勝てたことにもある。

12年の監督就任以降、ソフトバンク戦はチーム浮沈のキーポイントとなってきた。「ホークスは(勝敗がチームの)連敗、連勝(の起点)となる。目安にしてきた相手」と特別視する。5年前も同球場で「1番投手大谷」という「栗山マジック」をさく裂させてチームが勢いを加速し、日本一まで駆け上がった。現状の最下位から大きな上昇気流をつかむ起点としたい今カード。2番中田という「栗山還暦マジック」で青写真通りに勝って、チームは1分けを挟んで2連勝だ。

試合後には「カトちゃんが『還暦のボールです』って勝利ボールを持ってきてくれた。本当に大切にします」と、2勝目を挙げた加藤から60歳初勝利のウイニングボールをプレゼントされた。「連勝するためにやっている。それが起こらなければ、意味がない」と気を引き締めた指揮官は、シーズン序盤の大事な9連戦初戦で得た勢いに乗って、文字通りのゴールデンウイークとする。【木下大輔】

日本ハムニュース一覧はこちら―>