日本ハム池田隆英投手(26)の好投は報われなかった。ソフトバンク6回戦(ペイペイドーム)は、7回2失点と試合をつくったが打線の援護なく3敗目(2勝)を喫した。佐賀・唐津出身の右腕は小学2年の時に初めてプロ野球を観戦したのが同球場。思い出の地で力投を見せたが、ソロ本塁打2本に屈した。

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丹念に低めを突いてきた制球が、少しだけ乱れた。6回、池田は打球の行方を確認して表情をゆがめた。中村晃に対する初球が高めに浮いた。「最後まで粘り切ることができませんでした」。無情にもライナー性の打球は右翼席最前列で着弾した。7回にも1発を浴び、チームは1分けを挟んだ連勝が3でストップ。「悔いが残ります」と振り返った。

3敗目となったが、思い出の地での躍動は力強かった。故郷から電車で約1時間のペイペイドームは、19年前に初めてプロ野球を観戦した球場だ。ソフトバンクの前身ダイエー時代で球場名も福岡ドーム。「お父さんに連れてきてもらった」とビジター外野席で西武戦を観戦した。

当時、憧れていた選手は城島で「キャッチャーとして野球を始めた」。初観戦の2年後に本格的に野球を始めると、ダイエーの選手による野球教室に毎年参加。小久保ヘッドにも指導を受けたことがあり、今カード初戦で楽天時代の監督だった平石打撃コーチの仲介で初対面した。「こういう立場になれました。ありがとうございました」とあいさつすると「頑張れよ」と声をかけられ、気合もみなぎった。さらに母幸子さんも駆けつけた中で同球場でのプロ初先発。発奮材料を手に7回2失点と先発の役目は十分果たしたが、結果は非情だった。

栗山監督が「申し訳ないことをした」と話したように、投げる度に信頼度が深まる好内容が続いている。近いうちに、幼少期にスタンドから見た数々のヒーローたちのように、この球場で笑顔になれる時が来るはずだ。【木下大輔】

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