「日本生命セ・パ交流戦」でソフトバンクが今季2度目の1試合4発で巨人を圧倒し、オープン戦を含めて直接対決13連勝とした。ウラディミール・バレンティン外野手(36)が今季1号の決勝ソロを含む2本塁打と大暴れ。ヤクルトでの9年間で球団別で2番目に多い54本塁打を記録した得意の相手に火を噴いた。チームは今季の交流戦4試合目にして、初白星となった。

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数々の本塁打を積み重ねてきた大砲でも、久々の1発に喜びもひとしおだった。同点の2回。バレンティンは巨人畠の外角変化球に体勢を崩されながらも、豪快に左翼テラス席まで運んだ。今季1号は大きな勝ち越しソロだ。「0が1本になるというのは気持ちいい。スタメンに自分の名前が載っているのも非常に気持ちいい」。昨年の8月15日オリックス戦以来、久々の1軍での本塁打となりニッコリ笑って見せた。

火が付けば止まらない。5回2死二塁では、直球を完璧にとらえて左翼席中段に届く特大の2号2ランでダメを押した、「完璧に捉えることができました」。外国人選手では過去に3人しかいない、NPB通算300本塁打にも王手をかけ「アトイッポンデス」と、流ちょうな日本語でおどけた。

移籍1年目の昨年は開幕4番を任されながら、60試合で打率1割6分8厘、9本塁打。8月下旬からは1カ月以上の2軍暮らしも経験した。「去年は去年、過去のことなので。今年また新たに、そういう気持ちでやっています」。気持ちを切り替え、パ・リーグの内角攻めに対応するため、研究して臨んだという2年目の今季。開幕後の3月末に来日し、今月18日に昇格すると6試合目の先発で首脳陣の期待に応えた。苦しんだ大砲の爆発に、工藤監督も「めちゃくちゃ大きいです。彼が打ってくれるというのはチームにとっても大きい」と喜んだ。

ヤクルトでの9年間で、巨人からは球団別で2番目に多い54本塁打を打っていた「Gキラー」だ。この日は「相手チームのことは考えずに、自分が出たときに全力で頑張るだけ」と無心で、チームの対巨人13連勝に貢献した。開幕戦以来のチーム1試合4発も飛び出し、交流戦4試合目で初勝利。王者がここから勢いに乗る。【山本大地】