福井工大が完封リレーで福岡大(九州6大学)を下し、北陸大学野球連盟初の決勝進出を果たした。救援の立石健投手(3年=大体大浪商)が4回2/3を無失点の好投で反撃をかわした。慶大(東京6大学)は今秋ドラフト候補の正木智也内野手(4年=慶応)が先制2ランを放ち、上武大(関甲新学生)に打ち勝った。13日に決勝が行われる。

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福井工大は立石の踏ん張りで、決勝を引き寄せた。1回に先制した1点を必死に守る。勝負どころの5回1死満塁で救援するとスライダーで遊撃併殺打に仕留め、ピンチを脱出した。

自己最速148キロの速球とチェンジアップの緩急がさえ、6回以降も要所を締めた。3戦すべて救援で10回連続無失点。「ゲッツーで良かった」と振り返った。10日名城大戦は大会最多タイ17得点。打撃優位から一転して投手戦へ。下野博樹監督(60)も「先日までの打撃は夢を見ていた。この形がウチの形。先行して逃げ切る」と振り返った。

「仰木流」で制した。立石の先発案もあったが元横浜、オリックス、西武の水尾嘉孝統括投手コーチ(53)が救援起用を進言。窮地で切り札が生きた。指導5年目の水尾コーチは「野球は7、8、9回。最後、どれだけ失点を少なく抑えるか。仰木さんの時に役割分担するのが、一番負担がかからずみんなで戦える」と救援重視。オリックス時代の名将、仰木彬監督の戦略を踏襲する。勝負師の血は1度はイタリアンシェフに転身したコーチに息づく。

下野監督は試合前夜、あんかけ焼きそばを食べ続けて験担ぎ。体重130キロも「この体を上げてくれるか」と胴上げを望む。仰木監督に負けない豪快さで頂点を狙う。【酒井俊作】

◆水尾嘉孝(みずお・よしたか)1968年(昭43)5月2日生まれ、奈良県出身。明徳義塾-福井工大を経て90年ドラフト1位で大洋(現DeNA)入団。95年にオリックスへトレード移籍。97年は68試合登板。00年オフに自由契約となり西武テスト入団。04年にエンゼルスとメジャー契約。06年2月に引退。調理師学校などで修業後、10年8月に東京でレストランを開業し、現在は休業。16年から福井工大で指導し、19年から統括投手コーチ。177センチ、72キロ。左投げ左打ち。