慶大(東京6大学)が34年ぶり4度目の優勝を果たした。15安打13得点で圧倒。昨年はコロナ禍で大会中止。2年前の明大に続き、東京6大学が頂点に立った。福井工大(北陸)は初の決勝進出も、北陸大学野球連盟初の日本一はならなかった。

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慶大・堀井哲也監督(59)は、JR東日本監督として11年都市対抗優勝。アマ球界の名将も、35歳の時、三菱自動車岡崎で監督としてのキャリアをスタートした当初は壁にぶつかった。勝てなかった。「立ち居振る舞いや選手への指示の仕方が幼かった」と振り返る。

たまたま見たバスケットボール中継が転機となった。元女子日本代表監督で秋田経法大(現ノースアジア大)を率いていた中村和雄氏(80)の解説に「面白い発想をする人だなと。視点が人と違って興味を引かれました」。ツテを頼り、秋田まで会いに行った。一緒にゴルフをし、きりたんぽ鍋を囲んだ。別れ際「しっかりやらなきゃダメだよ」と言われ、気がついた。「やるしかない。選手に好かれようじゃなく、チームが勝つために監督がどう判断するか」。2年目の98年、都市対抗出場を果たした。

慶大でも就任2年目で日本一。ただ、決勝前に選手に言ったのは「今日は通過点」。真意はこうだ。「目標はリーグ優勝、日本一でも、学生は4年間で自分を表現する場をつくる」。秋のリーグ戦へ戦いは続く。【古川真弥】