阪神佐藤輝明内野手(22)と近大時代、寮の同部屋で親友的存在だった日本製紙石巻・井町大生捕手(22)が熱いエールを送った。自身もプロで同じグラウンドに立つことを目標に、社会人で技を磨き続けている。

   ◇   ◇   ◇

つい数カ月前まで一緒に白球を追った親友、阪神佐藤輝の姿を井町は12日、楽天生命パークのスタンドから1万3257人の観客のひとりとして眺めていた。「仙台にも佐藤のグッズやタオルを持ったファンが多くて、人気が高かったことがすごいと思いましたね」 この試合で佐藤輝は楽天田中将の低めスライダーを右中間席に運ぶ16号ソロを放った。球界を代表するモノノフ(ももいろクローバーZファンの愛称)田中将からの1発。奈良・生駒市の寮で3年時に同部屋だった井町は「部屋でももクロのライブDVDを一緒に見ていましたよ。佐藤が『この曲は知らんわ』とか『この曲はどうだ』とか言いながら。僕はライブには行ってないですが」と、熱く語っていた姿を思い出した。

井町は16年夏に履正社(大阪)で甲子園に出場。ヤクルト寺島の女房役だった。近大入学時、3年夏の兵庫県大会初戦でコールド負けした佐藤輝は無名で、井町の方が有名だった。「体がデカイやつがいるな! 打球の飛距離もすごくて。なんやコイツ! って。佐藤の方が先に試合に出ていた。あいつがいたから、負けへん! というように思う存在でした」。井町も3年春から正捕手の座をつかんだ。4年秋は神宮大会は中止となったが、関西地区大学野球選手権で優勝し、関西1位で大学野球ラストを飾った。

プロで1年目から佐藤輝が成績を残していることに井町は「ノートをつけたり、相手の配球面を研究したり、体ではなく頭を使うところだと思います」と話す。大学時代から研究熱心だった。三振を恐れないスイングを支える、緻密で繊細な準備があるという。「1年目から成績を残すことは本当にすごい。今後、どうなるのか。頑張ってほしい」。言葉に力がこもった。

井町も社会人・日本製紙石巻でルーキーながら公式戦でマスクをかぶる。6月6日の日本選手権東北最終予選準決勝では七十七銀行に敗れ、一発勝負の怖さも知った。2年後にプロ入りし、同じ舞台に立つのが目標だ。「捕手として全部レベルアップしたい。打撃もパワーアップして。佐藤と対戦したら嫌なところばかり突いていきたいですね」。近大同期対決を夢見て、東北で白球を追う。【石橋隆雄】

◆井町大生(いまち・だい) 1998年(平10)9月4日、兵庫県神戸市生まれ。御影北小3年から軟式の夙川ファイターズでプレー。御影中では硬式の東淀川ボーイズに所属。履正社では1年秋からベンチ入り。3年夏は甲子園出場。近大では3年春から正捕手。日本製紙石巻では石巻工場の原材料課に配属され、紙になる前の木材、チップの勉強をする毎日。170センチ、73キロ。右投げ右打ち。