引き分け目前から畳み掛けた。楽天ブランドン・ディクソン内野手(29)が、オリックス12回戦(京セラドーム大阪)で同点の9回、決勝の4号ソロを放った。

5階席まで届く特大アーチを皮切りに、打線が奮起。一挙5点を奪って首位オリックスとの3連戦に先勝。チームの連敗は5で止まり、8回2失点と力投した則本昂大投手(30)に7勝目をつけた。

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打ち上げた瞬間に確信した。ディクソンは、9回から登板したオリックス平野のフォークが浮いたのを逃さなかった。左中間5階席まで飛んだ打球を見届けながらゆっくりとダイヤモンドを回る。「浮いた球を待っていた。感触は非常によかったよ。何とか勝ちがほしい場面で、チームを勢いづける一打になったと思う」。値千金の1発が呼び水となり、4回以降2安打に沈黙していた打線が息を吹き返した。

1日に約1カ月ぶりの1軍昇格を果たしてから、早くも2本目の本塁打。日本の投手にうまく対応できず、5月30日に登録を抹消されていた。「ファームでいろんなことを試した。特にインサイドアウトとボールをしっかり上からたたくこと。自分のやるべきことにフォーカスすれば結果は付いてくるもの」。長かった襟足をばっさり切り、心機一転、勝負に戻った。

4試合連続で6番で起用した石井GM兼監督は「少しずつ状態が上がってきたのでスタメンで使ってるんですけど、本人もいい結果が出てくるのが一番の特効薬」と喜んだ。ただディクソンの上位は、少しテコ入れした。前日までの2番から5番打者の打順を1つずつ繰り上げた。これがまた奏功した。

5連敗中はいずれも追う展開に悩まされた。初回にはプロ10年目で初めて4番に座った岡島が、右越えのフェンス直撃二塁打で先制に成功。楽天では初めて2番に入った浅村は「甘い球を狙っていった」という8号ソロと適時三塁打で2打点を挙げた。

チームの連敗は5で、対オリックスの連敗は3で止まった。指揮官は「自分たちの野球をいかにできるかという意味では、失点を少なくして得点で上回るっていうところで言えば、今日はしっかりと自分たちの野球ができたんじゃないかなと思います」。“らしさ”を取り戻した打線はいい流れのまま、田中将が先発する7日に臨む。【鎌田良美】