今季限りでの引退が発表された西武松坂大輔投手(40)について、深い関わりを持つオリックス中嶋監督、小谷野野手総合兼打撃コーチが「平成の怪物」を語った。

中嶋監督は西武時代、横浜(神奈川)からドラフト1位で入団してきた黄金ルーキーの“専属捕手”を務めた。99年4月7日日本ハム戦(東京ドーム)のデビュー戦もバッテリーを組み「これから先、何年も活躍するであろうスーパースターピッチャーの1人で、どうやって勝たそうということをすごく考えたデビュー戦でした」と振り返る。この試合で、松坂を初登板初勝利に導いた。

同年5月6日のオリックス戦(西武ドーム)では、当代一のスーパースター、イチローから3三振を奪った。松坂が「自信が確信に変わりました」という名言を残した試合になった。その一戦を思い起こし、中嶋監督は「イチローが3三振は考えてなかったですし、持っているボール全部を使ってどうやって抑えようかということを考えていました。なかなか三振をしないバッターですし、まさか3三振とは、すごいなぁと思って見ていました」とマスク越しに舌を巻いた。

高校時代、西武時代、メジャーで一時代を築いた剛腕がケガに苦しみ、ついに引退を決めたことに「つらかっただろうなと。本当に投げることが大好きで、いつもキャッチボールをしていた選手が、投げられなくてつらいだろうなと。ここまで何球投げたんでしょうね。球数でいったら人の10倍くらい投げてきたんじゃないですかね。200球とか当たり前に投げていましたから。お疲れさまとしか言えませんよね。ユニホームを脱ぐというのは寂しいんですけど、それだけ投げてきた姿をよく見てきましたから。お疲れさまとしか言えないですね」と心中を思いやり、ねぎらった。

小谷野コーチは中学時代、「江戸川南リトルシニア」で松坂とチームメートだった。「子どもの時からずっと追い続けてきて、勝てなかった相手です。かなわなかったからこそ追い続けて、彼を目標にやってきたからこそ、自分はあきらめずにプロを目指し続けることができました」と、同世代をけん引してきた存在の大きさを語る。「子どものときから近くにいた目標が、高校野球でも、NPBでも、MLBでも活躍する世代のトップでした。プロに入ってからも、彼に追いつきたいと思い、ずっと目指し続けたからこそ自分も長く現役を続けられたと思います」と、同じ時代に野球をやれた幸せを語った。