全パの西武山川穂高内野手(29)が、本拠地での「マイナビオールスターゲーム2021」を沸かせた。

試合前のホームランダービーに繰り上げ出場すると、圧倒的なパワーで決勝進出。試合では、先制の適時二塁打を放ち、ベース上で小さくどすこいを披露した。普段は見せないセーフティーバントを試みるなど敢闘選手賞を獲得。2年ぶりの宴(うたげ)を、大技小技を織りまぜながら盛り上げた。

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二塁ベース上でさりげなく、両手を突き上げた。山川は第1打席の2回無死一、二塁で、左中間へ打球速度156キロの先制2点適時打。同点で迎えた8回2死三塁では、ビエイラとの力のぶつけ合いを演じ、初球161キロをファウル。2球目の159キロで遊飛に打ち取られた。打てばMVPもありえた場面だが「最後は緊張感のあるオールスターらしからぬ緊張感で、それもそれで楽しかった」と汗をぬぐった。

3回連続3度目の出場。人生初の試みにも挑戦した。4回の第2打席、清水の初球にセーフティーバントの構え。ファウルとなり「人生初をやってみようと(球宴に)選ばれた瞬間思ったので。セーフティーって難しいんだなと」。生粋のホームラン打者が、敵も味方もファンも虚を突く、慣れないプレーで盛り上げた。「セーフになろうという気持ちではなく、いつもと違うことをやろうという気持ちです」とサービス精神から生まれた。

試合前には、圧巻の打撃力を披露した。マーティンに代わって、急きょ繰り上げ出場が決まった「ホームランダービー」では1回戦で阪神佐藤輝と対戦。かつて「お前は何の悪魔の実を食べたんだ?」とうらやんだスーパールーキー相手に9-4で圧勝する力業。2回戦ではヤクルト山田哲を抑え決勝へ進出した。計15本の柵越えも、クールにベンチに戻るとソフトバンク松田から「どすこいやらんかい!」と強烈なツッコミを受け、先制打では三塁側ベンチに向けて、さりげなく、どすこいパフォーマンスを披露した。

17日の第2戦前、決勝戦が待ち受ける。2度の本塁打王も、獲得していない称号だ。「まあまあいいところでいける気がしているので頑張りたいです」。ギンギラギンに輝く仙台の夜空に、無数のアーチを描いてみせる。【栗田成芳】