4番が一振りでチームに光を与えた。後半開幕戦で5点を追う重苦しい空気の5回、阪神大山悠輔内野手(26)が、京セラドーム大阪の左翼5階席へ11号ソロをたたき込んだ。広島先発大瀬良の初球、高めに浮いた145キロ直球をガツン。「高めの球だったが、いい形で打つことができ、しっかり仕留めることができた」。バットが背中につきそうなほどの豪快なスイングで、打った瞬間に本塁打と分かる打球だった。

阪神はエキシビションマッチ終盤を25イニング無得点で終了。本番再開となったこの日も4回まで「0」が並んだが、頼れる主将が得点を刻んだ。

前半戦は背中の張りなどもあり、73試合で打率2割4分5厘、10本塁打、43打点と苦しんだ。4番も外れた。球宴休み後の練習再開初日から矢野監督にツイスト打法など内角の対応法を指導され、フリー打撃でも腰を残しながら回転するその打ち方に取り組んだ。大山は「エキシビションに入る前に1度しっかりリセットすることができた」と実戦までの期間に見つめ直した。エキシビションでは全11試合に4番で出場し「自分のやりたいこと、やるべきことにしっかり取り組めた」と、36打数13安打、打率3割6分1厘と数字を残した。

大山復活を誰よりも待っていた矢野監督は「打撃の状態自体はよくなってきているので楽しみ」と頼もしそうだった。本塁打は7月8日ヤクルト戦、雨の神宮で7番降格3戦目に放った決勝の勝ち越し10号3ラン以来。「4番弾」となると6月12日楽天戦以来、実に2カ月ぶりだった。勝利を最優先にする主将で4番の大山は黒星発進に「みんながひとつになって1戦1戦戦っていきたい。その中で勝ちに貢献できるように」と誓った。残り58試合。激しい優勝争いとなる中で、4番が元気を取り戻したのは大きい。【石橋隆雄】

 

▽阪神が2位に1ゲーム差と迫られるのは、4月28日に巨人と1差となって以来。14日に阪神●で巨人○または△なら、阪神は2位に転落する。