夢舞台でUSAマークを胸に戦いたかった。東京五輪出場を熱望していたオリックスのアダム・ジョーンズ外野手(36)は、悔しさを秘めてプレーしている。

今夏の東京五輪。米国代表メンバーの中に「ジョーンズ」の名前はなかった。WBCなど代表経験豊富な36歳は、チーム編成の都合上、落選…。MLB282発を誇る助っ人は「結果として、自分は選ばれなかったということ。そこに自分ができることは何もない」と割り切った。

8月7日の東京五輪決勝。日本-米国は自宅のテレビで家族と見た。「もちろん、アメリカを代表してすごくプレーしたかった。でも、チームの方向性が違った。その決定は尊重している」。静かに前を向いた。

全盛期ばりのプレーはできない。衰えも自覚している。次なる野望は「オリックスで、頂点に立ってシーズンを終えること」だ。今季は、スタメンに名前を連ねることが少なくなった。試合終盤の代打待機が主な役割だが「常にチームのために、ベストを尽くすだけ。今、チームは良い順位にいて、良い野球をしている」。練習では雰囲気作りを心掛け、外野陣とのキャッチボール役にも買って出る。

先生役も務める。“打撃コーチ”としてラオウ杉本を覚醒させた。「成功するための助言をした。基本的なこと。1球で仕留めるとか、切り替えるとか」。メジャーの第一線で活躍した助っ人だから経験した境地がある。「野球の結果はローラーコースターのようで、それを毎日受け入れないといけない。今日、調子が良くて打っても、それは今日のこと。次の日はすぐにくる。新しい1日は、また始まる」。白星の喜びは共有するが、自身の打撃成績に一喜一憂はしない。

勝利のマインドを植え付ける。「常にベストを尽くすこと。今の彼(杉本)は素晴らしい仕事をしている」。96年以来、25年ぶり悲願のVへ。主役は、一人じゃない。【真柴健】