逆転の口火はもちろん、この男からだ。

1点ビハインドの6回先頭。阪神近本光司外野手(26)が初球を仕留めた。左腕松葉の低めツーシームをたたき一、二塁間を破った。中野の犠打で二塁へ進むと、マルテの中前打で生還。大山主将の勝ち越し打にはベンチで歓喜した。

「自分のスイングはできている」。シンプルな自己分析に自信がにじむ。初回先頭でも中前打を放っており、自己最長タイとなる6試合連続のマルチ安打。約2カ月、打率3割前後で推移していたが、リーグ3位の3割1分1厘まで上げてきた。8月の月間打率4割3厘は規定打席到達者でリーグトップ。月が替わっても勢いは止まらない。

最多安打争いではDeNA佐野に6本差をつけ、127安打でトップを走る。「塁に出てホームにかえってくることが自分の仕事。そのために1本でも多く打てるように」。残り42試合。「自分の仕事」の先に、タイトル獲得が待っている。

矢野監督は「チーム状態が苦しい中ですけど、近本が本当にチャンスメークをしてくれている」とたたえた。首位返り咲きへ、近本は1番打者の仕事に徹し続ける。【中野椋】

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