広島鈴木誠也外野手(27)が8回に今季20号ソロ本塁打を放った。劣勢の展開で放ったソロは、球団では5人目となる6年連続20号。メモリアルアーチを含む猛打賞と主砲がひとり気を吐くも、打線はつながりを欠いた。ヤクルトには今季3勝10敗2分けと大きく負け越している。

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節目の1発にも、鈴木誠は口を横一文字に結び、ダイヤモンドを一周した。0-3の8回2死。ヤクルトのセットアッパー清水の外寄り150キロを強振。ヤクルト外野陣がすぐに背走を止める特大弾は、左中間席中段で弾んだ。広島球団では衣笠、山本浩、江藤、金本に続き、5人目となる6年連続20本塁打。「すごい先輩方に並べたことはうれしいです。チームが勝てるように、また頑張りたいです」とコメントしたが、チームの敗戦に最後まで笑顔はなかった。

今季は打撃フォームを大改造してシーズンを迎え、フォームの微修正を加えながら実戦を重ねてきた。形が定まらない中、新型コロナウイルス感染やワクチン接種の副反応など、予期せぬ事態も起きた。技術だけでなく、それを支える肉体面の調整にも苦労した。今もまだバランスを探っている段階だ。

打撃は徐々に方向性は見えてきているものの、試行錯誤はまだ続く。前日まで3試合連続無安打は今季最長だった。この日は7試合ぶりの猛打賞。1回は追い込まれながら緩い変化球をライナーで中前にはじき返し、6回は粘って9球目156キロを中前打にした。仕上げは特大弾。打率を3割台に再び乗せた。河田ヘッドコーチは「誠也に関しては明日につながるような、非常にいい打席だった。これからのキッカケになってくれればいいと思う」と期待する。

これまで王(巨人)と落合(ロッテ・中日)しか達成していない、6年連続で打率3割と25本塁打も射程圏に入れた。本人は個人記録に興味を示さない。ただ、チームとしての目標を定めにくい今、個人記録はファンの関心事でもある。何より、チームとともに、鈴木誠が意地を見せる姿が見たい、そう願っているに違いない。【前原淳】