ロッテが1日で単独首位を奪還した。開幕投手を務めながらも苦しんでいた二木康太投手(26)が7回3安打1失点で5勝目を手にした。低めに強い球を続け、オリックス山崎颯との“高卒ドラ6対決”を制した。球団通算8000号となるレオネス・マーティン外野手(33)の決勝3ランが白星をもたらした。息詰まるパの首位攻防は9日、1勝1敗で第3戦を迎える。

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これ以上、好きにはさせられない。逆境に立った二木が本気を超えた。4番杉本の4発を筆頭に、今季オリックス戦で7被弾。

「高い球で痛い目にあってるのが今年、本当に多くて。低く投げないと結果がついてこないと思ってずっとやってたので。技術的なこともそうですし、絶対に低めに集める気持ちが今日はすごくありました」

来田に浴びた8被弾目は、ボール1、2個分甘く入ったが、それでもソロで済んだ。被安打は3本のみ。最後の最後までプレートに残すつま先はいつも、マウンドに弧線を描く。ぬかるんだマウンドでいつも以上にくっきり残った跡が、下半身主体の証拠だった。

「もっとやらないといけない」「こんな成績じゃダメ」。春、夏と季節が進んでも、己を叱咤(しった)する言葉が並んだ。開幕投手を任されたのになかなか勝てない。先発を飛ばされることもあった。「今年、納得いく投球が本当になくて。危機感はもちろんあります。すごくあります」。いつもより注目度の高い首位攻防戦。フォームチェック、データ分析、作戦策定…とことん準備し備えた。背番号18の意地だった。

最速は140キロ少々。鹿児島情報高からドラフト6位で入団し、最初の年は直球が128キロだった試合もある。「みんなにすごく笑われて。悔しい思いはもちろん、すごく強かったですね」。だから18歳の頃、1軍は遠い場所だった。

「1年目は、寮でテレビで1軍の試合を見ていても、同じチームメートとは思えなかったですし。こういうところで投げてるって、そういう想像はしてなかったですね」

心身を鍛え上げて26歳になり、それでも悩み苦しみ、ようやくの快投でもたらした1勝は、大きい。

「こういう順位で野球をできているのがうれしいというか、楽しいというか。プロ野球選手としてすごくありがたいことだと思うので」。だから次も投げる。頂点目指して低く、低く。【金子真仁】