ソフトバンクが首位ロッテとの3連戦初戦に敗れ、再び自力優勝が消滅した。

エースの千賀滉大投手(28)は、自己最多タイの14三振を奪うなど好投を続けていたが、同点の8回に力尽き、レアードの適時打で決勝点を許した。首位とのゲーム差は今季最大の7・5。リーグ2連覇へ窮地に立たされた。

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じっくりと時間をかけた。千賀の126球目。同点の8回2死満塁で打者はレアード。捕手の甲斐拓也(28)もマウンドに来て話し合い、心を決めた。フルカウントから、勝負の1球に魂を込めた。

外角へのカットボールをレアードがはじき返す。二遊間の打球に二塁の三森大貴(22)が飛び込み、ボールをつかんだが一塁送球は間に合わない。勝ち越しの走者2人が生還。千賀は「長いイニング、球数を投げることができましたが、逆転を許してしまい大事なところで粘ることができませんでした」と唇をかんだ。

2週連続の中5日で、重要なカードの初戦に回ってきた。「絶対に勝つだけです。その一言だけです」と気合十分に臨んだマウンドだった。3回までは無安打。奪った三振は自己最多タイの14個だった。だが後半戦5戦目の登板で、初めて敗戦投手になった。エースが正念場で力尽きた。

大事な3連戦の初戦を落とし、自力優勝が再び消滅。首位との7・5ゲーム差も今季最大となり、リーグ連覇へは険しい道のりとなった。それでも工藤公康監督(58)は「このゲーム差がね、もう優勝に届かないかといえば、全然そんなことない。まだまだと思っていますし、明日、明後日の試合をしっかり戦えば、まだまだね。全然逆転のチャンスもあるんじゃないかなという風に思っている」と力を込めた。「これからがホークスの本当の戦いだと。そういう戦いを見ていただけるように」。最後まで執念の火は燃やし続ける。【山本大地】

▼千賀が19年4月12日楽天戦に並ぶ自己最多の14奪三振をマークした。2ケタ奪三振は通算30度に到達(プロ野球22人目)。球団では和田毅(29度)を抜いて杉内俊哉(49度)に次ぐ単独2位。現役では松坂大輔(西武=45度)則本昂大(楽天=42度)田中将大(同=37度)に次いで4位になる。

▼ソフトバンクは今季の自力優勝の可能性がなくなった。ソフトバンクは残り31試合に全勝しても、77勝48敗18分けで最終勝率6割1分6厘。ロッテはソフトバンク戦残り8試合に全敗しても、他球団との26試合に全勝すれば79勝48敗16分けで6割2分2厘となり、ソフトバンクを上回る。