V記念日にあぁ3強1人負け。阪神が3年ぶりのスミ1で2位ヤクルトに敗れ、2・5差に迫られた。先頭が5度も出塁しながら、あと1本が出ないもどかしさ。マルテ、サンズ、ロハスの外国人トリオがスタメン出場した試合はブレーキで、後半3戦全敗と悩ましい。9月15日は03年に星野阪神が優勝した記念日だったが、3位巨人もサヨナラ勝ちでこちらも2・5差に接近。虎のVロードがスカッと晴れない。

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「優勝記念日」に東都の虎党からため息が漏れた。0-1と1点を追う終盤8回。2死満塁の好機。逆転の夢が膨らんだ押せ押せで、6番サンズがあっけなく空振り三振に倒れた。代わったばかりの右腕清水にフォークを続けられて2球連続見逃すと、最後は力ないハーフスイング。最大のチャンスをつぶし、今季9度目の完封負けを喫した。矢野監督も「ジェリー(サンズ)がちょっと状態が悪いし、まあジュニア(ロハス)もあれやけど…」と表情が晴れなかった。

熱を帯びる優勝争いと反比例するように、虎がタイムリー欠乏症に陥っている。この日は1番近本が猛打賞の活躍。チームは1回から4イニング連続、6回も含めて5度先頭が出塁してチャンスを作った。だが、得点が入らない。前日の11残塁に続き9残塁。初回のワンチャンスを主砲村上のタイムリーで得点したヤクルトとは、対照的だった。

チーム屈指の勝負強さを誇っていたサンズも例外ではない。6回の左飛など、2度の2死満塁で凡退。前日14日は再びスタメンから外れるなど、9月は11試合で打率2割3分3厘、0本塁打、2打点の低空飛行。武器のはずのマルテ、サンズ、ロハスの助っ人トリオのスタメンも機能せず、後半戦は3戦3敗となった。

9月15日は特別な日だった。18年前の03年9月15日に星野監督が宙を舞った日だ。03年星野監督、05年岡田監督、そして今年…。16年ぶりのリーグVへ突き進む矢野阪神にとって、つながらない打線は喫緊の課題だ。矢野監督は「チカ(近本)が出てくれるだけにね、かえすところのバッターで、誰かが(調子)上がってこないとちょっと厳しい」と主軸の奮起を促した。 この日の敗戦で2位ヤクルト、3位巨人との差は2・5ゲームになったが、引き分け数の関係から、17日から阪神2連敗、ライバルの2連勝で、首位から陥落する。その週末はまず“後半戦リーグ首位”と好調な中日と2連戦。先発予想は大野雄と柳で、さらに19日の巨人戦は菅野が見込まれる。虎はセ界のトップを行くが、まだまだ厳しい戦いが続きそうだ。【桝井聡】

▼阪神の完封負けは今季9度目。0-1敗戦は、7月11日巨人戦以来4度目。初回の失点のみの「スミ1」敗戦となると、18年8月28日ヤクルト戦以来、3年ぶり。先発の岩貞が山田哲に先制二塁打を許し1失点。打線はヤクルトの小川-近藤-石山の3投手のリレーの前に沈黙し、6安打無得点。今回と酷似した試合展開だった。