脱力のススメだ。楽天滝中瞭太投手(26)が「腕を振らない勇気」で7勝目を挙げた。オリックス18回戦(楽天生命パーク)で今季自己最長タイの7回を投げ、本調子でないながら無失点でチームを2連勝に導いた。打線は浅村栄斗内野手(30)に3試合連続本塁打が飛び出すなど、投打がかみ合って快勝。カード勝ち越しを決め、2位オリックスに1ゲーム差に迫った。

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3回2死、オリックス・ジョーンズへ2球連続で投げたカーブが低めに決まった。滝中は“脱力成功”を予感した。「あ、今のよかった。バランスよく立てたかなっていうのがあった」。不安定な立ち上がりがうそだったかのように持ち直し、5回以降は3者凡退締め。ゼロを7個並べて役目を終えた。

調子は全然よくなかった。四死球や長打で1回、2回とピンチの連続。「自分でもどうなるか分からなかった。粘るしかない。2、3点取られてもおかしくなかった」と振り返る。投げ急いでいた。順位を左右しかねない2位との直接対決。意気込みは力みになる。空回りからの脱却が修正ポイントになった。

ここである成功体験が生かされた。滝中は後半戦に入り、シーズン序盤で課題だったカーブを改善させている。「腕の振りの強さを変えました。強くする意識はしたことがあったけど、弱くはやったことがなかった。逆転の発想です」。それまでは腕ばかり振って回転軸がずれ、スライダー気味に曲がって落ちきらなかった。だからあえて力を弱め、少し後ろでリリースする感覚にしたらきれいな順回転がかかった。

同じように調子が悪いと、つい強い球を投げようとしてしまう。ベンチ前のキャッチボールとイニング間のマウンドで、カーブを投げて念じた。「序盤の力みを何とか取り除こうと。腕を振らないのは勇気がいるんですけど、いい力の抜け方ができたかなと思います」。よくないなりにまとめる。言うのは簡単だが、やるのは難しい。滝中は体現して、自身の連続無失点を14回に伸ばした。

正念場で2連勝し、2位オリックスに1ゲーム差に迫った。「1つ1つ勝ちを積み重ねないと順位も上がらない。昨日の早川がいい流れをつくってくれて、それにうまく乗れたんで、この後もみんなで勝利を目指して頑張っていきたいと思います」。最高の流れで、バトンを則本昂につないだ。【鎌田良美】

▽楽天石井GM兼監督(2連勝で2位オリックスに1ゲーム差)「滝中が粘り強く投げてくれたし、打者も辛抱しながらチャンスが来た時に向かっていってくれた。非常に投打のかみ合った試合だったと思います」

▽楽天山崎剛(5回の三塁打など2戦連続適時打で連日の1番起用に応え)「走者をかえそうという気持ちだけだったので狙い球はないです。後ろにすごい打者がたくさんいるので、心置きなく打席に入れています」

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