執念で最下位脱出。広島が土壇場の9回、菊池涼介内野手(31)の決勝打など打者10人の猛攻で再逆転した。

7回以降に両軍で12得点の荒れた展開も、9回は栗林良吏投手(25)が無失点で締めた。球団新人記録を更新する26セーブ目を手にし、9試合連続セーブで15年DeNA山崎の新人記録にも並んだ。乱打戦を制したチームは3連勝で5位に浮上した。

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やられたら、やり返す。9回に同点に追い付きなお1死満塁で、菊池涼はDeNA山崎のツーシームにバットを振り抜いた。打球は前進守備の三遊間を抜け、2人の走者が生還した。

2点差を5回に追い付き、6回に勝ち越した直後に同点。再び7回に3点を勝ち越したが、今度は4点を奪われて逆転された。8回にリードを2点に広げられても、諦めなかった。9回も、相手の守護神から単打3本と敵失を絡めて追い付き、菊池涼が荒れた試合に終止符を打った。二塁走者の生還をベース上で見届けた殊勲者に笑顔はなく、喜ぶ三塁ベンチに向けて両手をたたいて応えるだけだった。

「みんなが僕のところに回してくれたチャンスだったのでね。みんなのつながりがあって、僕のところに回ってきた。挽回するチャンスをみんなが与えてくれたので」

6-3の7回無死一、二塁の守りで、一、二塁間のゴロに菊池涼は二塁封殺を狙った。だが、体が流れながらの送球は三塁側にそれ、満塁となった。「セカンドで(アウトを)取れれば、次ゲッツーあるという楽な場面だったので攻めたんですけど、満塁になってしまって、逆にプレッシャーをかけてしまった」。直後にオースティンに逆転満塁弾を浴びた塹江のためにも、打ちたかった。

チームは3連勝で、5位に浮上した。佐々岡監督は「みんな最後まで諦めない姿勢を見せてくれたし、いい仕事をしてくれた」とたたえた。苦しい戦いが続く今季だが、やり返すチャンスはまだ24試合残っている。【前原淳】