阪神村上頌樹投手(23)が、ロッテとのファーム日本選手権に先発し、6回3安打7奪三振2失点でマウンドを降りた。

唯一のピンチで粘り切れなかった。0-0の6回裏。安打と自らの失策、さらに犠打を決められ1死二、三塁。ここで2番高部にフルカウントとし、勝負球に選んだツーシームが高めに浮いた。痛恨の中前適時打を浴び、2失点で先制点を献上。表情には悔しさがにじんだ。

大一番で堂々たるマウンドさばきだった。直球には伸びがあり、80キロ台のスローカーブ、スライダー、フォーク、ツーシームを織り交ぜた。5回2死まで1人のランナーも許さないパーフェクト投球。ロッテ打線を手玉に取っていた。

試合開始直後に雨が降り始め、時折雨脚が強くなるシーンもあった中、動じなかった。右ポケットに忍ばせたロジンに手をやり、丁寧に1球1球投げ込んだ。雨がやみ青空も見え始めた5回裏には、福田光にこの試合初めての安打となる左前打を許したが、後続をきっちりと断った。同期入団で同学年の栄枝裕貴捕手(23)とはイニング間にベンチで会話を重ね、コンビネーションばっちり。ただ、6回裏の1球に泣いた。

村上は20年ドラフト5位で東洋大から阪神に入団。プロ1年目の今季は、ウエスタン・リーグで最優秀防御率(2・23)、最多勝(10勝)、勝率1位(9割9厘)の「投手3冠」に輝き、リーグ制覇に大貢献した。前日8日には「チームが勝てるように導くのが先発。それを目指してやっていきたい」と意気込んでいた右腕にとって、収穫も反省も残る79球だった。