ヤクルトからドラフト1位指名を受けた法大・山下輝投手(4年=木更津総合)が慶大打線を散発3安打に抑えた。

援護がなく0-0で引き分けたため、完封勝利はならなかったが、自身初となる9回無失点投球を無四球で飾った。首位慶大はポイントを0・5点上乗せ。最終週の早慶戦に春夏連覇をかける。

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加藤重雄監督(65)の言葉が全てだった。「(山下輝は)100点満点。点が取れないので、途中で代えたかったが、山下におんぶに抱っこになってしまった。申し訳ない」。最速149キロの直球をコースに決め、スライダー、ツーシームで揺さぶった。自身だけでなく、チームにとっても今季初勝利はならなかったが、堂々たる内容。左腕は「ブルペンではあまり良くなかったですが、マウンドで自然とスイッチが入りました」と頼もしかった。

苦しい戦いが続く中、前日の雪辱に燃えた。1回戦はエース三浦が打たれ、2-11の完敗。この日のアップ中、2人で語り合った。「お客さん、応援してくれている人たちに締まった試合を見せないと。勝たなきゃいけない」。援護がないなら、点を与えないだけ。ソフトバンク2位指名の正木には、2回、4回とツーシームで連続空振り三振。7回1死二塁では一転、146キロで押し込み三ゴロ。「一番いい打者を抑えられました」。春に1発を浴びたリベンジを果たした。

とはいえ、やはり勝利が欲しい。「あと2カード。なんとか1勝、2勝して終えたい」と偽らざる気持ちを口にした。【古川真弥】