今季限りで現役を引退する巨人大竹寛投手(38)は、原辰徳監督から「私の記憶に残る投手」と絶賛された。周囲から「寛ちゃん」と愛される抜群のキャラクター、強気に宝刀シュートで懐をえぐる投球スタイルは唯一無二とも言える存在だった。

記憶に残る選手なのはもちろんだが、広島時代には球団記録を残した。09年、新球のチェンジアップを交え、佐々岡真司(現監督)の持つ30イニング連続無失点の球団記録を更新。最終的にはリーグ歴代6位の43イニング連続無失点を記録した。

7回無失点の好投で、球団新記録を刻んだ09年5月19日のオリックス戦を振り返る。

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広島大竹が球団史に新たな1ページを刻んだ。この日も0を並べ、6回で91年に佐々岡がマークした30回連続イニング無失点記録に並んだ。7回も下山、日高、岡田を簡単に3人で抑え、一気に球団新の31回連続無失点を達成した。無傷のまま救援にマウンドを託した右腕はご褒美の3勝目もゲットした。「うれしいけど、それより交流戦の頭を取れた。そっちの方が良かったです」とチームの勝利を喜んだ。

唯一のピンチ、初回2死満塁は日高を二ゴロで料理。それは昨秋から取り組む左打者対策の新球チェンジアップで、投球の幅の広がりを証明した1球でもあった。防御率0・77はリーグ断トツ1位。ブラウン監督は聞かれてもいないのに「去年の秋、私がきっとあの球は使えると言ったのを覚えてるかい?」と得意げに言った。現時点で無失点記録が途絶える気配はない。