広島鈴木誠也外野手(27)が首位打者と最高出塁率を獲得した。10月24日阪神戦以来、3試合ぶりにスタメン復帰では3打数無安打で途中交代。それでも、2年ぶり2冠を死守。試合後は3年連続Bクラスに終わったチーム事情もあり「どうでもいいです。今日もダメでしたし、また課題が見つかりました」と首をひねった。

今年はオフから打撃フォームの大改造に取り組み、開幕後も試行錯誤は続いた。5月には新型コロナウイルスに感染。隔離期間による影響がなくなり始めた6月下旬には、ワクチン接種による副反応によって再びコンディションが悪化した。それでも日本代表として戦った東京五輪をへて、コンディションが上向き、打撃フォームも固まった。シーズン終盤は月間MVPを連続受賞するなどチームの追い上げをけん引した。最終盤には再びコンディションが整わない中でシーズンを走り抜き「いろいろ考えさせられるシーズンでもあった。こういう結果になったので、あまりいい気分はしないですけど、最後まで乗り切れたので良かったです」と振り返った。2年ぶり2冠も、本人にしかわらかない苦しさがあった。

ポスティングシステムを利用した米大リーグ挑戦の可能性が注目される去就については「本当まだ分からない。まだ話していない状況。これからいろいろ話していくんじゃないかな」と話すにとどめた。

苦しんだシーズンが終わったばかりでも、鈴木誠は立ち止まろうとしない。2日にも広島に戻り、近日中に練習を再開する予定。「やることいっぱいです。休んでいる暇ないですから。今日でまた思い知らされました、自分が“クソバッター”だということを」。周囲が鈴木誠の未来を見る中、鈴木誠は足元を見つめることも忘れない。【前原淳】