首相のエールに発奮!! 広島からドラフト1位で指名された関学大・黒原拓未投手(21)が12日、兵庫・尼崎市内のホテルで契約金1億円、年俸1500万円で仮契約を結んだ。背番号は未定。熱狂的なカープファンで知られる岸田文雄首相(64)の歓迎ツイートにも背中を押され、目標の「新人王」へ突き進む。(金額は推定)

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思わぬカープファンからのエールに黒原の心が躍った。ドラフト会議が行われた10月11日の深夜、広島出身で熱狂的な鯉党の岸田首相が、自身のツイッターで左腕の1位指名を早速歓迎した。

「ようこそ黒原拓未投手! 今、カープは左腕投手が充実しつつあります。黒原投手には即戦力として、カープ投手王国の一翼を担っていただければと大きく期待を寄せられています。がんばれカープ!」

黒原の友人から「ツイートされてたよ」と連絡があり、驚きを隠せなかったという。「首相からツイートしていただけると思ってなかった。応援されるのはうれしい。期待に少しでも応えられるように、頑張っていこうとモチベーションも上がりましたし、本当にありがたいです」と喜んだ。

最速151キロの直球にカットボール、ツーシーム、スライダー、チェンジアップ、スプリットと多彩な球種を操る。「直球の強さと、変化球ではカットボールが一番自信がある」と自負する。先発か中継ぎかまだ決まっていないが、担当の鞘師スカウトは「勢いでガンっといくタイプなので、イメージとしては中継ぎ。(両方)対応する能力はある」と期待した。

プロ入りに向けて同学年のヤクルト村上に対抗心を燃やした。面識はないが、高校時代に智弁和歌山の黒原は練習試合で九州学院(熊本)の村上と対戦したことがある。「オーラがあった」と当時を振り返り「若くして4番を打っている。自分が活躍していくためにも、そういう打者と戦って結果を出さないといけない」と気合。「負けん気が大事。どの打者でも、そういう野心みたいなものを燃やして頑張りたい」と力を込めた。

目標は「新人王」と断言した。タイトル獲得へ、先発なら「2桁」、中継ぎなら新人最多記録のロッテ益田の41ホールド、同じくセ・リーグ新人最多の阪神榎田の33ホールドが「ボーダーラインになる」と意欲的だ。「ここからが勝負。どれだけ泥臭くやっていくかが大事。何歳になっても、初心を忘れず、貪欲にひたむきに練習と向き合っていきたい」。強力なカープファンの“バックアップ”も受け、4年ぶりのV奪回へ責務を全うする。【古財稜明】

◆黒原拓未(くろはら・たくみ)1999年(平11)11月29日生まれ、和歌山・海南市出身。海南中から智弁和歌山に進み1年秋からベンチ入り。3年夏に甲子園出場。関学大では1年春からリーグ戦に出場。4年春は5勝1敗、防御率0・70で最優秀選手、最優秀投手、ベストナインに輝いた。最速は151キロで球種はカットボール、ツーシーム、スライダー、チェンジアップ、スプリット。173センチ、76キロ。左投げ左打ち。