名門対決を制した。7年連続46回出場の南関東第1代表、日本通運(さいたま市)が6年連続55回出場のパナソニック(門真市)を下し、3年ぶりに初戦を突破した。

シンガポール生まれの背番号「18」が、6回1/3 を5安打無失点と試合を作った。先発の前田敬太投手(24=専大)は、建設関係の仕事に就く父親の影響で、小学3年までを海外で過ごした。この日は最速148キロの直球を軸に、変化の大きいカーブ、決め球としても使えるフォークなどを組み合わせ、相手打線を翻弄(ほんろう)した。

大卒2年目右腕は、この1年で2つの成長を遂げた。1つ目に制球力。この試合無四球だった右腕は、制球には自信がなかった。改善するために、今年から投げ込みの量を増やしたという。「とにかくブルペンで狙ったところに投げられるまで投げ続けました。だんだん感覚をつかんできて、地方の日立大会(4月開催)くらいから良くなりました」。都市対抗の舞台でも安定感をみせた。

2つ目に、心の成長。これまではピンチを迎えると、力みが生まれていた。それが今年に入り、周りを見られるようになったという。沢村幸明監督(41)は「ここ1年ですごく成長してきました。ピンチになってからも冷静に投げられています」と、太鼓判を押す。本人は「試合を経験するにつれて慣れました」と冷静に話したが、周りは成長を認めている。