マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(48)が18日、ほっともっと神戸で、女子高校野球選抜チームとのエキシビションマッチに出場した。

【写真特集】イチローVS女子高生 笑顔で談笑 死球謝罪も>

同氏が所属する草野球チーム「KOBE CHIBEN」の一員として対戦。「9番・投手」で先発し、投げては9回を無失点。最後は足を何度もつりながら140球を超える大熱投を演じた。17奪三振。打席では3打数無安打だった。試合は1-0で勝利した。

ぶつけて、ねじ伏せて、打ち取られて、あきらめかけて。女子高校生を相手に、イチロー氏が見応えたっぷりの「本気」の勝負を繰り広げた。

初回先頭への初球で134キロを計測。その後も130キロ台の速球を連発して初回は直球だけで3者三振。笑顔を一切見せず、すぐさまベンチ前で円陣を招集する気合の入れようだった。

2回には4番の神野百花捕手(3年=福知山成美)に対して内角を攻め、左肩に直球を当てた。深々とおじぎしたが、4回にも神野の左腕に死球。試合を通じて、好打者と見た相手には力を込めた。2回以降はスライダー、カーブ、シュート系の変化球も順次解禁した。

2回は、5番前田葵内野手(岐阜第一)に初安打となる遊撃内野安打を打たれた。だが無死一、二塁のピンチは一ゴロ、と2連続の空振り三振。最後の吉安に対してはこの日の最速135キロでしとめた。

実は試合前から吉安に対しては最大級の警戒を払っていた。力強いフリー打撃をベンチから凝視し「すごい」と感心。23年発足予定のプロ野球巨人の女子チームに内定にした好打者に敬意を払うように、真剣勝負を挑んだ。

無死一、二塁のピンチが3度あったが、要所でしっかり三振を奪った。100球を超えた6回あたりから両脚を気にしだし、8回はマウンドで何度もストレッチして試合が中断。それでも最後は渾身(こんしん)の132キロでこの日14個目の三振を奪った。とても投げられる状態には見えなかったが、9回も続投し、完封した。

打つ方では悔しい思いをした。3回の先頭では吉安の速球をジャストミートできず投ゴロ。5回の先頭では内角スライダーをとらえたように見えたが、二ゴロに打ち取られた。

追加点がほしい1-0の7回1死一、二塁では初球のスローカーブに体勢を崩され、まさかの一-遊-投の併殺を食らった。

相手が高校生とあって、場内アナウンスは「イチローくん」。引退まで大きな故障のなかったイチロー氏が真夏の高校球児のような、歯を食いしばりながらの全力プレーだった。

イチロー氏「初めてですよ」試合中にけいれん 女子高生と熱戦/一問一答>

イチロー氏は、高校生の指導に必要な「学生野球資格」を回復し、昨年12月に智弁和歌山を指導。今年は国学院久我山、千葉明徳、高松商を訪れ高校生に直接指導をしてきたが、女子高校生と交流したのは初めて。

今回は、全日本女子野球連盟が高校年代の選手育成を目的として実施する「女子高校野球選抜強化プログラム2021」の一環として行われた。

「僕が日本で野球選手だったの知ってる?」イチロー氏の優しさに質問次々>